FC2ブログ

彩―隠し事 4

羞恥心

会員制SMクラブで彩と仮名で登録した優子は、意識しないまま心の奥に封じ込めていた積年の思いを満たそうとしている。
両手首を縛られて吊り上げられた格好で前開きワンピースのボタンをすべて外され、暗い客席に向かって下着姿を晒す。
人の動く気配さえ見えなかった客席も自分を照らすスポットライトに慣れると、人影が動いているのがわずかながら感じられるようになる。
下着を着けたままとはいえ結婚後、男性と言えば夫にしか見せたことのない肌を見ず知らずの人たちに見られていると思うと喉が渇き、全身をドクドク流れる血液の熱ささえも感じられて意識が遠のくような羞恥心に襲われる。

おぼろげだった想い出が消せない記憶となってありありと蘇る。
あれは高校生だった夏のある日の事、クラブ活動を終えて帰宅後、二階の自室で制服から私服に着替えようと下着姿で汗をぬぐっていると隣家の二階のカーテンが不自然に揺れていた。
優子の一歳下で小学校低学年までは一緒に遊び宿題もしていた男子がカーテンに隠れるようにして覗いているようだった。
女子高だったせいもあり、男子に対する注意が足りなかったと後で思うこともあったが、その時は覗き見されているという事にゾクゾクするような気持ちよさを感じて隠れようという気はまるで浮かばなかったような記憶がある。
一緒に遊んでいた頃は彼が年下という事もあって、何かとお姉さん風を吹かせていた記憶があるが、そんなことも影響していたかもしれない。
女子高の猥談やセックスに関する話は後で思うと、えげつないほどあけすけなもので、そんな経験が普段はおとなしい優子を大胆にして、その夏は何度か着替えをわざと覗かれるようなことをして年下の彼をからかってみた。
やがて秋になると窓を開け放ったまま着替えをすることもなくなり、覗き見されてゾクゾクした思いは心の奥深くに隠していた。
オナニーで得る快感や、そのころ付き合っていた彼とのセックスの快感とは違う心の奥にある性感帯を刺激されるような気持ちよさに背徳感があり、意識して記憶を封印したのかもしれない。
覗き見をした彼と偶然、通りで会っても優子は気付かぬ振りで普段と同じ挨拶をし、彼は悪い事をしたという思いがあるのかよそよそしい態度になったのがおかしかった。
最近、女性週刊誌や女性主催のブログ、友人との話などで露出癖や恥ずかしい姿を見られると昂奮する女性がいると聞いて何かモヤモヤする懐かしさを感じていたが、今、その正体を理解して自分にも棲みついていたのだとはっきり自覚する。

そんな回想はカヲルの声で現実に引き戻される。
「うっとりした表情だけど、見ず知らずの人に恥ずかしい姿を見られて昂奮する女性なんだよね・・・これじゃぁ物足りないでしょう。オッパイも見てもらいたいでしょう」
いうが早いかカヲルはブラジャーのホックを外してたっぷりとした乳房を剥き出しにする。
「ウッ、いやぁ~ン・・・恥ずかしい」
ブラジャーをだらしなくぶら下げて客席に顔を向けまいとして俯くさまが色っぽく、男女を問わず乳白色に輝く膨らみを凝視する。
そんな反応に満足するカヲルは、
「お客様は、このオッパイに満足したようよ。せっかく丸出しにしたんだから縄化粧をしてみようか、きっちり縛ってあげる」
「あぁ~ン、やめて・・・縛られたくなんかない。オッパイを見られるだけでも恥ずかしいのに、そんな事を言わないで」
ここまでは二人で話し合った手順通りで乳房の上下を縛られた後は、SMショーを目の当たりにした経験がないので優子ならぬ彩の反応を見ながらカヲルに任せる事になっている。
吊り上げられた両手の戒めを解かれると同時にワンピースとブラジャーを剥がされてTバックショーツ姿で後ろ手に縛られ、乳房の上下を縄が這い股縄を通される。
ギシギシッ・・・縄がこすれ合う音が心地いい。
両手は決して動かしようがないほどきつく縛られているのに痛いと感じることがなく、身動きできない事に精神的な自由を感じ始める自分がいる。

後ろ手に縛った縄尻を再び天井から下がるフックに止められ、手の自由を制御される。
「ここにいる人たちはすべて、この身体を見ているんだよ。昂奮させてあげなさい」
カヲルの手が彩の身体を這い、客席で息を凝らす人たちに魅力を再確認させる。
「シャギーを入れた髪は知的な雰囲気によく似合う。この肩は、そうね、水泳でもしているのかな・・・淑やかさだけが魅力ではなくアクティブな雰囲気も作る、素晴らしいわ。オッパイ、Eはありそうね、全体の雰囲気に似合っているから大きすぎず、小さすぎずでバランスがいい。鍛えた身体は油断すると、ついついって様子が感じられるけどウェストの括れから腰に至るラインを見ると節制しているのが判る。このあたりのムッチリ感は男好きしそうだね、抱きたくなるような魅力があると思う・・・女の私も触れると吸いこまれそうな、この身体に涎が出そうになる」

ピシッ・・・ヒィッ~、痛い・・・ヒィッ~、ざわざわっ・・・カヲルの手が尻を打つと小気味いい音が響き彩の口から悲鳴がほとばしると同時に客席からも同調する女性の声が響く。
ペニスをオシャブリしなくても、勃起したソレをアソコに挿入されなくても
身体の奥からジーンと痺れるような快感が湧き上がり、こんな恥ずかしい事をされながらどうしてと思うと混乱で何も考えられなくなる。
「股間に縄で作ったコブが当たっているのが分かるでしょう??この縄をクイクイッって引くとどんな感じ??」
「アンッ、いやっ、そんな事をされたら、アソコが変になっちゃう」
「アソコじゃ分からないでしょう。はっきり言いなさい」
「そんな事を恥ずかしい・・・オマンコ、オマンコがこすれて気持ちよくなっちゃう」
「そうなの、じゃぁ、もっと気持ちよくしてあげる」
抗ったり暴れたりする間もなく両方の足首に足枷を巻かれ、それを床の埋め込みフックに止められて両手だけではなく両足の自由も奪われてしまう。

「海やプール以外で男性を前にして下着姿になったことがある??」
「そんなこと・・・ありません」
「そうだよね、街中で下着姿になっちゃ変態だよね。ここでは平気、下着姿でこんな風にバイブで嬲られても何もおかしくないんだよ」
アウッ、ハァハァッ・・・左手に持ったローターが股間に押し付けられて右手のバイブが首を撫で、しどけなく開いて甘い吐息を漏らす唇を刷く。
彩を見つめていたカヲルの瞳が徐々に下がって乳房でくぎ付けになると、新たな刺激を予想する下半身が妖しく蠢き、昂奮で乾いた唇に滑りを与えようとして赤い舌を這わせるのさえ艶めかしい。
「どうしたの??両足をモジモジさせて・・・オシッコをしたいわけじゃないんでしょう??どうしたの、答えなさい」
「熱いの、嬲られているのに気持ちいいの・・・アソコが熱いの。私はスケベな女、こんな事をされて気持ちよくなっちゃうの」

彩―隠し事 5

白い肌を這う縄 

時間の経過とともに暗くて何も見えなかった客席が薄っすらと見えるようになり、今は顔の輪郭と共に男女の区別が付くほどになっている。
縄で縛られた状態で心の奥に隠れていた恥ずかしい姿を見られたいという思いがムクムク育ち、羞恥と快感がないまぜになって息を荒げる
「どうしたの、急に息が荒くなったわよ」
「恥ずかしいの、縄で縛られた身体をバイブで嬲られて善がる姿を見られるなんて・・・」
「恥ずかしくないよ。バイブで嬲られて何も感じなければ不感症って事で恥ずかしいけど、感度の良さを自慢してもいいよ。こんな事をされるとどうなの??気持ちいいでしょう??」
ウッ、アンッ、いやっ、いぃ、気持ちいぃ・・・カヲルが発する揶揄いの言葉が羞恥となって全身を覆い、操るバイブが股間と内腿を刺激すると堪えようのない快感が喘ぎ声となって口から洩れる。

客席からよく見えるようにと背後に回って左手のローターを股間に押し付け、右手が持つバイブが内腿を這い上がり鼠経部を刺激する。
ヴィ~ン、ヴィ~ン・・・ブ~ン、ブ~ン・・・ゴクッ・・・ローターとバイブの振動音が見事なハーモニーを奏で、見つめる客席の静寂を破るように唾を飲む音が聞こえる。
「ウッ、ウゥッ~・・・恥ずかしい」
「そうなの、恥ずかしいの・・・股間を苛めるのはローターだけにしてあげる。バイブはオッパイで遊ぼうね」
鼠経部から撫で上がるバイブは恥丘で円を描いて別れを惜しみ、下腹部から臍や鳩尾を経て乳房の上下を縛る縄に沿って愛撫する。
膨らみの麓から頂上までクルクルと円を描くようにゆっくりと這いまわり、先端に行きつくと乳輪の周囲をなぞる。
カヲルの悪戯はそれで終わるはずもなく、唇と舌が温かい息を吹きかけながら首筋や耳を愛撫する。
「アウッ、いやんっ、いぃの、気持ちいぃ・・・縄で縛られたオッパイが痛痒くていいの」
「ウフフッ、変態女が悦ぶことをしてあげる。両足を広げただけじゃ満足できないでしょう」

新たな縄を手にしたカヲルは両足の拘束を解いて左膝の下を縛って吊り上げる。
後ろ手に縛って手の自由を奪う縄が乳房の上下を引き絞って膨らみを強調し、膝下に食い込んで吊り上げる縄で片足立ちにされる不安定さが被虐感を募る。
不安と期待でゾクゾクするような戦慄が快感に火を点け、一度点いた火は心が拒否しようとしても身体は嬉々として受け入れる。
両手の自由を奪われてカヲルの意のままに操られるのは育ち始めた被虐心を刺激されて嫌な事ではなく、片足立ちの不安定さと自分の体重が与えてくれる鈍痛がめくるめく快感に変身する。

仕事の場では人見知りする元来の性格を隠して同僚だけではなく上司も認めてくれるほど結果を残している自信がある。
そんな優子が彩と名乗ってアイマスクで顔を隠し、縄にすべてを委ねて被虐の陶酔に溺れていく。
宙に浮くような快感はフワフワして捉えようがなく、深い谷に転がり落ちるような快感は理性が崩壊して妖しい期待に子宮が疼く。

カヲルは乳首を摘まんで引っ張り、根元を糸で縛ってしまう。
「ウッ、痛いっ・・・ウググッ、引っ張らないで」
「引っ張るのは止めて二つを繋ごうか」
残る乳首を摘まんで引っ張り、同じ糸で縛って二つの先端を繋ぎ、ローター本体とコントローラーを繋ぐコードを引っ掛けてつりさげてしまう。
「ウググッ、グゥッ~、もげちゃう・・・痛いっ、クゥッ~・・・」
膝下で吊り上げられた左足は白くてムチムチした内腿を晒し、真っ赤なTバックショーツが乳白色に輝く太腿の魅力を際立たたせる。
「Tバックでも陰毛は見えないけど、どうしたの??どんな処理をしてるの??・・・答えなさい」、ピシッ・・・ヒィッ~
「ヒィッ~、痛い・・・答えます、もう打たないで。剃ってます、一本残らず剃ってツルツルにしてます」
「そうなの、ツルマンなんだ・・・お客様に見せてあげられないのが残念・・・ツルマンはお見せできないけど、縄化粧の似合うこの身体を見るだけで満足できるはず」

縄で絞られた乳房ははち切れそうなほど膨らんで白い膨らみに青い血管が浮きあがり、先端を糸で縛られて苛められている乳首はローターの錘のせいでもげそうなほど尖りきる。
乳房と両手首や足に食い込む縄に与えられる苦痛に目を閉じると悲劇のヒロインになった可哀そうな彩が、獣欲の化身のような男たちに囲まれて慰み者になる寸前の景色が浮かんで驚きのあまり目を開ける。

ようやく顔の輪郭が分かるようになった客席に目を向けると、正面の席に座る男の表情がはっきり見える。
整ったつくりの顔を持ち、ホステスを横に侍らした一人客で彩の身体だけではなく心の内まで射るような視線で見つめられると狂おしいほどの官能の昂ぶりを覚える。
テーブルのグラスを掴もうとする手の動きさえ、彩の身体を這う縄を操ろうとしているように思えて心が騒ぐ。

男の操る縄が全身にまとわりついて身体だけではなく心まで縛り、彩のすべてを支配される妄想に酔いしれる。
乳房に絡みつく縄が肌に食い込む気持ち良さで乳首は零れ落ちるほど尖りきり
ゾクゾクする快感が湧き出てくる。
男に操られて縄に支配されるのは嫌な事じゃない。
「アウッ、アァ~ン・・・オッパイをギュッと縛られて気持ちいいの。乳首を苛められるのもいぃ・・・ハァハァッ」
「クククッ、変な声を出してどうしたの??オマタを濡らしちゃって気持ちいいんだ・・・こんな風にするとどうなるの??」
股間に縄を食い込ませようとクイクイと絞る。
ウッウッ、いやぁ~ン・・・縄が偶然にもクリトリスを挟み、子宮から脳天めがけて電気が走る。
元々、人見知りする質で自分では引っ込み思案だと思っていた優子は、彩と名前を変えて性的好奇心を露わにし、清楚な上品さをかなぐり捨てて奔放で淫らな女に変化する
「ここはどうしたの、濡れてるよ」
カヲルが示す股間は滴る淫汁をTバックが吸いこんで変色している。
縄に抱かれているような心地良さに包まれる彩が客席に目を向けると、先ほどの男だけがはっきり見えて、思わず叫びそうになる。
「私は彩。奔放で淫らな女。あなたが男の中の男なら彩を満足させて・・・あなたを待っていたの」

彩―隠し事 6

秘密 

会員制クラブで被虐の悦びに目覚めた優子はショーの終了後、
「彩さん、どうされますか??席に戻ってお酒やショーを楽しみますか??あるいは、、このままお帰りになって余韻に浸るのも結構な事だと思います」
「このまま帰ります。気持ちの整理をしないと明日の仕事に影響しちゃいそうなので・・・おいくらですか、ここで精算させてください」
「いえ、今日は私どもから彩さんにお支払いいたします。彩さんのショーに感動されたお客様から複数のチップが届いています・・・この中に入っています」

そのまま通用口から外に出て最寄りの駅まで送ってもらい、電車の中で封筒を確かめると予想を超える金額が入っていた。
帰宅後すぐにバスタブに湯を張り身体を沈めると乳房の上下にはっきりと分かる縄の痕が残り、手首にもよく見るとそれと分かる痕がある。
元々、バスタイムが好きな優子が時間をかけて血行を促すと手首のそれは気にならない程度に薄くなり気持ちが軽くなる。
乳房に残る縄模様は、恥ずかしい姿を見知らぬ人に見られたいという思いを成就し、優子自身が気付かぬうちに温めていた、縛られたいという思い、自由を奪われる中で感じる心の開放に酔った証として愛おしくさえ思える。

ベッドに横たわって眠ろうとすればするほど目が冴える。
明日は重要な仕事はなかったはず。それが気を楽にしてくれる。
こんな時にも仕事を気にする生真面目さが我ながら可笑しくて苦笑いが浮かぶ。
胸に手を伸ばすと指先が縄の痕を感じると同時にクラブで彩を見つめていた男の顔が蘇る。
ショーツ一枚だけを身につけて縄で拘束される身体を見ることなく、彩の視線に絡みついたまま心の中を犯されるような思いが沸き上がり、組み敷かれて慰み者にされる妄想が沸々と育っていた。
どこの誰とも分からない相手では二度と会うことはないだろう。いや、クラブに行けば会えるかもしれない。
そんな事を考えると手は自然と股間に伸びて蠢き、早々に出来た泥濘がクチュクチュと卑猥な音を立てる。
クラブでは長い間、心の奥に秘めていた隠し事をあからさまにされたものの、身体は生殺しのような状態でモヤモヤしていたが指が与えてくれる快感でスッキリ眠ることが出来た。

夢の中でカヲルが囁く。もう一度縛られると心だけでなく、身体も快感で震えて満足できるようになるわよ。
名前も住まいも知らない、あの男も囁く。彩の心の奥には自分でも気付いていないアヤカシが棲みついている。アヤカシは彩を官能の世界に引きずり込む魔性のケモノ。


「優子、どうしたの??一仕事終わるたびにため息をついて優子らしくないよ」
「えっ、ごめん。いつもと同じ積りだけど、違って見える??」
睡眠不足気味なのは気にならないものの、身体の芯に残るモヤモヤした思いが仲の好い同僚には奇異に映るらしい。
あなたの教えてくれた秘密クラブで縛られてきたんだよ、と告げるとどんな反応をするだろうと思うものの問いかけには笑みで誤魔化すしかない。

「久しぶりに飲みに行こうか、優子なら浮気相手なんてすぐに見つかるよ。協力しようか??」
「結構よ、浮気相手は自分で見つけられるもん」
「やっぱり、今日の優子は変。自分から浮気をするって宣言するなんて何があったの??旦那とは付かず離れずのままでしょう??」
居酒屋では浮気願望を追求されることなく、一言、優子があんな事を言うからびっくりしちゃった、の後はいつもの通り他愛のない話で盛り上がった。

仲の良い友人と美味い酒と食事を楽しんだ翌日から妄想を振り払い、仕事と趣味に集中したものの二度目の週末を迎えようという金曜日、自分の気持ちを持て余すほどイライラが高じるのを意識する。
跡形もなく消え去った縄模様を思い出して指を這わせると縄が身体に食い込む感触が蘇り、縄に抱かれる心地良さを思い出した身体が疼く。
今日、再び秘密クラブを訪れると縛られるか否かにかかわらず、SM行為から抜け出せなくなるような予感がする。
縛られたい、恥ずかしい姿を見知らぬ人に見られたい。
身体の芯から沸き上がる疼きをどう処理しようかと真剣に悩む。

夫は金曜の今日から日曜まで接待ゴルフで留守にすると言い置いて出勤した。浮気相手と遊びに行くのが接待なのと言いたくなるのを飲み込んで、じゃぁ、久しぶりに実家に行ってこようかなと言うと、よろしく言っといてと安心したようだった。

仕事の場では女性であることを意識しないようにパンツスーツで通してきたが、今日はスカートスーツを引っ張り出して身につける。
グレーのスーツに黒いトップスを合わせて清潔感を失うことなく、女性らしいエレガントさの中に遊び心を付け加える。
スカートの中はガーターベルトで留めたストッキングだけでショーツを穿いていない。
ひざ丈のタイトスカートはただならぬ緊張感を伴い、ハイヒールが包む踵から頭の先端まで姿勢を意識する。
出勤途中で前を歩くスカート姿の女性を見て、この人の穿く下着なんて見えるはずがないと思うと自分のノーパン姿も自ら宣言しないと分かるはずがないと気が楽になり、羞恥心と共に育つスリルが萎んで少しがっかりする。

同僚たちは異口同音に、どうしたの、女を前面に出して。週末を利用してご主人とどこかへ遊びに行くんでしょうと言う。
ご想像にお任せしますと答えたものの、終業後、どうしようかと思って仕事が手につかない。
仲のいい友人は、「まさか本気で浮気するんじゃないよね。優子は真面目に考える質だから止めた方がいいよ」と真剣に心配してくれる。
ガーターベルトで留めたストッキングだけで下着は穿いてないんだよと言ったら、どんな顔をするだろう。
エッチな秘密を持つことがこんなに昂奮するなんて、身体が熱い。

急な仕事が入って残業を終えた時には課長と二人きりになっていた。
「いつも申し訳ないね。私が課長の職を全うできるのは鍬田君のお陰だよ」と嬉しい言葉をかけてくれる。
「片付けなきゃいけない事が残っているし、ご主人に申し訳ないから誘うのは止めとくよ」
紳士然とした言葉を物足りなく思いながら、下着を穿いていないから課長がその気ならここでエッチ出来ますよと言いたくなるのを我慢して、
「都合の良い時にお昼をごちそうしてください」と声をかけると、こぼれんばかりの笑みを浮かべて、「いい店を知っているから近いうちに誘うよ。その時は鍬田君の友人も一緒にね」と誤解を招かないように気遣ってくれる。

退出して時計を見るとすでに21時を過ぎ、隙間風が吹いているとはいえ夫がいない家への帰宅を焦る事もないので近くの店で夕食を済ませると22時。
通勤で利用する電車に乗り込む。

意識しないまま引き寄せられるように秘密クラブのある駅で下車してしまった優子は、今更ながら駅頭に立ってどうしようかと悩む。
クラブへの道は戻り道のない一方通行のように思えて足がすくむ。
下着を穿いていないひざ丈のタイトスカートにも慣れて、身体だけではなく気持ちも大胆になっている優子は、夫は今頃、不倫相手と楽しんでいるのだろうと思うと帰路に就くのも癪で駅前のホテルにあるバーに行くことにする。

彩―隠し事 7

欲望

エレベーターに乗りバーのある最上階のボタンを押すと同時に、失礼と一言、挨拶して男が乗り込んでくる。
「あっ・・・」、「ごめんなさい、お邪魔だったですか」、「いえ、そんな事はありません」
秘密クラブで縛られた彩の心を犯すが如くに凝視した男に違いない。
間違えるはずがない。ステージから見た顔、ベッドで思い出した顔。間違いない。
この人は気付いているかしらと不安と期待でドクドクと全身の血が逆巻き、頬が朱に染まるのを意識する。

行き先階ボタンを押そうと手を伸ばしかけた男は、目的のボタンが押されているのを確かめて所在無げに手をブラブラさせて優子を見つめる。
「逃げようのないこの空間で失礼だと思うのですが、時間がそんなに残されていないので聞いてください・・・バーにお付き合いいただけませんか??」
「えっ・・・あの」、シュッ~、ガタン・・・エレベーターは目的フロアに着いてドアが開く。
「どなたかと待ち合わせですか??」
「いいえ、ご一緒させていただけますか??」
「ありがとうございます。ここから見る夜景は独りじゃ寂しいですからね」
秘密クラブで縛られていた女が目の前にいるのに気付いた様子がなく、優子はがっかりすると同時に安堵する。
並んで歩く男の横顔はスッキリと整い、秘密クラブで見た男だと確信する。
表情に出さないようにと思いながらも動悸が激しくなるのを避けることが出来ず、無意識のうちに握りしめた手はじっとりと汗ばむ。

「今日はカウンターじゃなく窓際の席にしてください」と男は常連客然として声をかけ、眩いばかりに宝石を散りばめたような夜景が見える席に案内される。
「よく来るんですか??」
「独り住まいの無聊を慰めるのに酒を飲みたいときはここに来ます。近いからって理由ですがね」
「お近くにお住まいなんですか、羨ましい・・・この素晴らしい夜景は独りじゃつまらないですか??」
「そういうわけじゃないのですが、独りの時はカウンターです。夜景はカップルのためにあると思っているので・・・今日は、ありがとうございます。久しぶりに夜景を堪能できます」
同年代と思える男性の振舞や言葉遣いに不自然さはなく、秘密クラブで見た女だと気付いている気配は全く感じられない。

「自己紹介が遅れました。私は健志、健康の健に志と書いてタケシと読みます」
「私は彩。彩りのアヤです」、本名ではなく、クラブに登録した名を名乗る。
「彩さんですか。名は体を表す、雰囲気にぴったりのお名前です。スーツが良く似合って凛として嫋やか、彩さんのような女性と同席させてくれた神様に感謝します」
夜景を楽しみカクテルを味わいながらの時間は会話も弾んで、下着を穿いていないどころか、久しぶりのスカート姿という事も忘れるほど心地良い。
ラストオーダーの時刻だと告げられて、このまま別れるのが寂しいという思いが沸き上がる。
彩が最後のスプモーニを飲み干したタイミングで健志が、
「ご自宅は近くですか??・・・他意はありません、こんな時間ですから帰りの足をどうするのか気になったものですから」
「主人は出張で留守なので、このホテルに部屋を取ろうかなぁ・・・」
健志の問いに答えると言うでもなく、思いついたことをつい口にした。
「ご主人に断らなくてもよろしいのですか??」
「いいの・・・出張だと言っているけど、本当は不倫相手と旅行でもしてるんでしょう・・・」
カクテルが与えてくれた少しの酔いと健志に好意を抱き始めた優子は言わずもがなの言葉を口にする。
優子の言葉に一瞬反応しかけた健志だったが、
「楽しい時間でしたが営業時間を終えたようです。出ましょうか」と言う健志の言葉に、一押しされれば何処へでもついていくのにと軽い失望を感じつつ、頷いて席を立つ。
今日は課長と言い、健志と言い紳士然とした男ばかりでつまらない、優子ではなく彩は奔放な女なのにと叫びたくなる。

シュゥ~・・・エレベーターのドアが閉まり下降が始まると優子の前で背を向けて立っていた健志が振り返り、
「店を替えますか、それとも私の家で飲み直しますか??」
「えっ、それ以外の選択は・・・例えばタクシーで帰宅するとか・・・」
「どうしてもと仰るならお引止めすることはできませんね。そのときは諦めます」
トンッ、シュゥ~・・・返事をする間もなくエレベーターのドアが開き、気持ちをエレベーター内に残したまま彩はエレベーターホールに立つ。
「タクシー乗り場までお送りします」
「・・・タクシーに一緒に乗ってくださいますか??」
「ウフフッ、結構ですよ。私が運転手さんに告げる住所は一つしか知らないのですが、よろしいですね・・・」

健志に促されて乗ったタクシーは、それほど遠くない高台に建つマンションに着き、ドキドキする鼓動に胸を締め付けられるような気持ちで後に続く。
どうぞ・・・ドアを開けた健志は一歩退き、彩を自室に招き入れようとする。
「えっ、えぇ・・・はい」一歩踏み出せば健志の部屋に入るという最後の一歩を躊躇する。
・・・・・急かすでもなく、イライラするでもなく泰然と立つ健志の表情に安心して部屋に入ると、カーテンを開け放った窓にはホテルのバーで見た宝石箱をひっくり返したような景色ではなく、たくさんの人たちの生活の証である家々の灯りが見えて心が落ち着く。
「ホテルで見た景色も華やかでいいけど、私はこの景色が好きだな・・・それより、お腹が空いてないですか??」
「少し・・・」
肉の塊を取り出してテーブルに置き、彩に向かって、
「肉を常温に戻す間、スパークリングワインにしますか、それともお風呂がいいですか??」
「えっ・・・いいえ、このまま待ちます」

お泊りセットを用意していないどころか、ショーツを着けていない事を思い出して愕然とする。
このまま帰ろうか、それでは失礼になるだろうか。
スカートを脱ぐことはできない。ガーターベルトに留めたストッキングとノーパン姿、浅ましく男をあさっている女と思われないだろうか・・・易々と男の部屋についてくるんじゃなかったと悔やむ気持ちになる。

彩―隠し事 8

色欲 

高台に建つマンションの窓際に立つと先ほどまで酒を楽しんだホテルの威容を中心にこの街のほとんどを見渡せる。
25時を過ぎても睡魔は姿を見せることなく、一つまた一つと家の灯りが消えていくのを楽しむ余裕が生まれてくる。

ジュゥ~・・・肉をグリルパンで焼き始める音がする。
「彩さん、焼き方はどうしますか??」
「今日は生々しい女の気分なのでレアでお願いします」
「彩さんが生々しい女ですか、意外ですね」
時間の経過とともに健志に対する警戒心が薄れ、清楚で淑やかと他人が評価する優子は姿を消して、優子の心の奥でゆっくりと育っていた妖しい魅力を湛えた彩が身体を支配する。
窓際から健志のそばに移動して肉に付いた縞模様を見つめる。
健志はそんな彩の腰に手を回して引き寄せ、一言も発することなく唇を合わせる。
「うっ、急に・・・レアじゃなくミディアムに変更して・・・だから、もう一度」
潤んだ瞳で見上げる彩を左手で抱きしめて再び唇を合わせた健志は唾液を送り込み、右手は何かを探るようにスカート越しに腰を擦る。
「ミディアムレアにしときましょう」
「ハァハァッ・・・久しぶりのキスで昂奮する」

グリルパンで焼き目を付けたテンダーロインをアルミホイルで包んでオーブンに入れた健志は振り返り、
「彩さんは私に見覚えがあるのでしょう、違いますか??私も気付いていましたよ。駅にいたのですが彩さんが降り立った時にすぐに分かりました。後をつけてエレベーターに乗り込み、彩さんの目的が客室フロアじゃないので誘いました」
「そうだったのですか・・・それで私をどうしようと思っているのですか、念のため聞かせていただけますか??」
「警戒しないでください。秘密を知ったからといって脅そうなどと思っていません・・・そうだなぁ、ご主人が浮気をされていると仰いましたが、彩さんにもその気があるなら私にそのチャンスを与えてくれませんか??」
ほとんどの人がイメージする清楚で上品な人妻優子ではなく、今は奔放で淫らな彩に変身しているので健志の言葉に欲情を昂じさせる。
「そんな事を言われても・・・浮気します、抱いてくださいなんて言えません」
二人の仲は卑猥な空気を漂わせながら着実に近づいているのに言葉遣いは一気に間を詰めることがなく、ゲームのように楽しむ余裕が生まれている。

「上着をいつまでも着ていないで脱いでリラックスした方がいいでしょう・・・それとも、すぐに帰るので脱ぐ必要はないという意思表示ですか?・」
声は穏やかながら有無を言わせぬ雰囲気に二人だけのプレイの一環と受け取った彩は、嫌がる様子もなく上着を脱いでその場に立ち尽くす。
「スカートハンガーを用意したから脱ぎなさい」
「いじわる・・・彩を苛めて楽しいですか??」
優子を忘れて彩になり切り、先ほどまで私と称していたのが奔放な彩になるべく自分を彩と呼び始めるものの、逃げるように後ろに下がるばかりでスカートに触れることがない。

ドンッ・・・あっ・・・背後の椅子にぶつかった彩は、そのまま腰を下ろして座り込んでしまう。
「そうですか、疲れましたか。椅子に座った方が楽でしょう・・・ステーキは私が口に運んであげますよ」
「ほんとう??彩はここに座って口を開けるだけでいいの??」
「そうですよ。彩さんは動く必要がないから・・・こうしましょう」
彩の足をひじ掛けに乗せて大股開きで座らせる。
「動くのは許しませんよ。動くようなら、申し訳ないけど素っ裸に剥いて両手の自由を奪って、この格好で足も縛ります・・・分かりましたか??」
「ハァハァッ、だめっ、苦しい・・・」
黒いシャツにグレーのタイトスカート姿で両足をひじ掛けに乗せて大股開きの彩は、足の付け根まで覗かれないかと不安と期待で動悸が激しくなる。

「タイトスカートがずり上がってストッキングが守るムッチリの太腿が美味そうでそそられます・・・」
「ハァハァッ、彩は太腿じゃなく肉の匂いにそそられます」
「あっ、忘れていました。肉が焼けていますね」
オーブンから出してアルミホイルを外した肉は湯気と共に美味そうな匂いが鼻を刺激する。
「ワインは白で我慢してもらいますよ。よく冷えた白が好きで肉でも魚でも白なので・・・」
冷えたワインで肉を流し込むように食べ終えた二人は、妖しい光を宿した視線を絡ませて口を閉ざす。

「彩さん、そのままの格好でスカートを脱ぎなさい」
「いやっ、スカートは脱げない。許して・・・チンチンを舐めろと言われればオシャブリします。抱くと言うならベッドに行きます。ここでスカートを脱ぐのだけは許してください」
スカートの中に下着を着けていないのを知られるのは、オシャブリする事や身体を開いて股間の奥深くに健志を迎え入れるよりも恥ずかしい。
仕事中も浅ましく男あさりをしている女だと思われるのは堪えられない。

「ノーパンなのは知っていますよ。今更恥ずかしがることはないでしょう・・・脱ぎなさい」
「えっ、知ってたの??」
「彩さんは意識してないつもりでも不自然さはありありと感じていたよ。スカート越しに腰を撫でても何の気配もなかったしね。タイトスカートに浮かぶ下着のラインを気にするならTバックで済むけど、その気配も指先は感じなかった」
椅子に座ったままスカートを脱ぎ始めた彩に背を向けた健志は食品用ラップフィルムを用意する。
スカートを脱ぎ終えた彩はひじ掛けから降ろした足を揃えて行儀良く座り、それを見た健志はチッチッと舌打ちをして顎をしゃくる。

再び肘掛けに乗せた足をラップフィルムで拘束して股間をあからさまに晒す。
羞恥で頬を朱に染めて顔をそむけるさまが色っぽく、ガーターベルトとストッキングが飾る下半身はムッチリとして染み一つない。
健志は股間に伸ばしたくなる手を我慢し、じっと見つめて意地の悪い事を言う。
「彩さん、身体の関係がない私が言うのも変だけど、秘密クラブで縛られたり仕事中にガーターベルトとノーパン姿。ご主人の浮気を切っ掛けにして何か性的な欲望が胸の内で育ち始めて持て余しているんじゃないか??・・・もしもそうなら、もしも卑猥な欲求を幾らかでも解放しようとしているなら私が協力するよ。見知らぬ男に抱かれることも、複数の男に弄ばれる場も提供する。見られるか見られないかの露出を楽しんだり・・・そうだな、女性が相手の機会も作るけど、どうだろう??」
私は彩、奔放で淫らな女にあこがれる気持ちが育ちつつある。
プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード