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おとぎ話

約束

まだまだ昼間の明るさが残る中、店の看板に灯りを入れた由美は西の空がオレンジ色に染まる景色に思わず感嘆の声を洩らす。
「きれいっ・・・」
今日の終わりを告げ、別れに名残を残すかのように雲の中の夕日は地上に向けて幾筋もの光の筋を下ろす。
いつもより1時間ほど早く開けた店のカウンターに立ち、今日こそ良い事があるかも知れないという期待で自然と笑みが浮かぶ。

「いらっしゃ・・・いらっしゃいませ」
ドアに向け一瞬浮かべた笑顔が怒りの表情に変わり、入ってきた客から視線を外して表情が消えた顔に変化する。

カメレオンのように変化する顔を見ても笑うことも出来ずに困ったような表情の男はスツールに座り、ぎこちない笑みを浮かべてカウンターの中の女に声を掛ける。
「ごめんね、3週間ぶりになっちゃった。これはお土産」
「ふ~ん、私のことは忘れていなかったんだ」
「ごめん・・・」
「守れない約束をする人は好きじゃないし、期待だけで済ませるような事もされたくない」
「ごめん・・・ジントニックを一杯飲ませてくれる??」
「言い訳もしないで終わりにする気なの??」
「急な用で連絡する暇も無く出掛けちゃったんだよ」
「遠いところ??」
「そう・・・ごめん。連絡しなきゃと思いながら、忙しさに感けてしまった。本当にゴメン」
「しょうがない、許してあげる。遠いんじゃね・・・忙しいのは分かるけど翌日でもいいから電話くらいしてよね」
「うん、大切な事を忘れてた」

「もう3年経つんだよね、私たち・・・」
「由美がそばに居るのが当たり前に思えて、つい甘えてしまった。由美はオレには過ぎた女だよ」
「ほんとにそう思ってくれる??」
「オレの事を理解し、我がままを許してくれる。オレには過ぎた女だよ」

「女にとって男との約束の日は待ちどうしくって、どんな楽しいことがあるんだろうって色々期待するの。連絡もなくすっぽかされると事故じゃないか病気になったんじゃないかと心配に変わり、そんな日が続くと絶望に変わるんだよ。心配や絶望に要する日数はその人をどれくらい想っているか・・・どれくらい大切な人かによって違うんだけどね・・・」
「ごめんね。由美のことを忘れてたわけじゃないけど・・・甘えが過ぎた、ほんとにごめん」
「分かってくれればそれでいい。これからは貴男しだいだから・・・私は自分の気持ちを確認する日でもあったみたい」
「うん??」
「正直に言うね。3週間も経つのに絶望に変化せず、ずっと待ち続けていたの・・・今日は何か予感があったからいつもより早く店を開けて待っていたんだよ」
「ありがとう。店を閉める頃、もう一度来るよ」
「そんな事をしなくてもいい。今、店を閉めちゃうから・・・手伝ってくれる??」
「いいの??」
「お客様には申し訳ないけど、お店より大切な事があるのはしょうがないでしょ」

客はオレしかいないので片付けるのは早い、由美はカウンターを片付けオレは看板を取り込む。
カウンターに座り空のグラスを弄ぶ由美にウイスキーをかざすと言葉を発せず首を振る。
オレはショットグラスに目一杯注ぎ、一息に飲み干す。
喉から胃まで焼けつくような感じにオレは咳き込む。
「バカなことはしないで。もう、許したんだから・・・聞いてくれる??」
「あぁ、聞くよ」
「女はね恋愛によって変わるの」
「うん??よく判らない??」
「女はね、うぅうん・・・私はね男に惚れると女優になるの」
「それで・・・」
「好きな男が惚れたくなるような女になる演技をするの・・・勿論、客はその男一人でいいの」
「うん、由美はオレが惚れたくなるような好い女だよ。女優の由美じゃなく素の由美を愛してる」
「ありがとう。ずるい男はね言葉で女を騙して傷つける、ひどい男は女を騙さないで傷つける、例えば暴力で・・・貴男は女に暴力を振るうような男じゃない。さっき言ったけど、守れない約束はしないで欲しいし、期待だけをさせないで欲しいの・・・勿論、喜ばせようと嘘は言わないで欲しい・・・」
「判った。ずるい男と思われないようにするよ・・・大好きだよ・・・」
「無理しないでいいからね・・・本当に好きな男なら、一緒にいるだけで女は幸せを感じるんだから」

「目をつぶって・・・」
オレの目を閉じさせた由美は閉じた瞼にそっと唇を合わせる。
「くすぐったい・・・」
オレは由美の髪に手を伸ばし、そっと撫でる。
顎を上げ、眼を閉じる由美を抱き寄せ唇を重ねる。
頬を撫でたり互いの指を絡ませたり触れ合って、身体だけではなく心も重なる時を待つ。息が荒くなるまでキスを続ける。

「食事に行く??・・・その前に、頭は貴男を許したけど身体が許したどうか試してみない??」
「ここで??・・・」
「触ってみて・・・ねっ、ホテルまで我慢出来ない。ここで抱いて」

手をつないだまま立ち上がった由美のスカートを捲り上げてショーツを脱がせ、オレはズボンと下着を膝下まで下ろし、スツールに座ったまま腿を跨がせる。
背中に回した両手で由美の身体を支え、由美はオレのペニスを優しく握り熱い蜜壺に誘導する。
ウッ、眉間に皺を寄せた由美の顔は次第に優しくなり、愉悦の声を洩らし始める。
「アンッ、アンッアァァ~・・・いいの、くる、奥までくるっ・・・」
「由美は心だけじゃなく、身体も許してくれたようだね・・・」
「分かってるくせに・・・余計な事は言わないで、気持ち良くして・・・貴男の事を忘れられなくなるほど可愛がって・・・」
スツールに座り対面座位で結ばれたオレは由美の背中を支え、由美の両手はオレの首を巻く。

オレは背中の両手を由美の腿に移し、腿を持ち上げるようにしながら突き上げる。
首に回した手で身体を支える由美は髪を振り乱し、身体を上下しながら真っ赤に染まった目で瞳の奥にあるオレの心を覗き込む。
「いいの、気持ちいいの・・・逝ってもいぃ・・・イックゥゥ~」
背中を仰け反らせ歓喜の表情を露にする由美にあわせ、オレは蜜壺の奥に熱い男汁を吐き出す。

由美の顔に掛かる髪を取り除くと、頬をじんわり涙が濡らす。首を支え滲む涙を舌で拭いとるとオレの胸に顔を押し付け、静かに肩を震わせる。
そのまま髪を撫で続けると泣き笑いの顔で見上げ、好きっ・・・オレの胸が熱くなる。
オレは言葉もなく再び由美の身体を胸に包み込む。


                          <<おしまい>>
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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