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彩―隠し事 55

土曜日 コンビニの階上  

手をつないだ彩に確かめることもせず、コンビニの脇を奥へ進んで階上に向かう階段の手前で立ち止まる。
「分かっていたの??」
「クククッ、涎を流さんばかりに行きも帰りも見上げてれば気付くよ」
「健志と会う時は本当の私じゃなく、彩。彩は奔放で淫らな女に憧れているの。勿論、直ぐにそうなりたいって言っているんじゃないよ」
「あぁ、分かっているよ。人は生きるためにセックスだけじゃなく色んな事の制約を受けている。法的、道徳的、あるいはそれぞれの生き方の主義みたいなものでね。たまには発散したくなるさ……ただし、発散するかどうかと思う、思わないは同じじゃない。そうなんだろう??」
「そんな事かな」
「ボタンをもう一つだけ外そうか」
デニムスカートのフロントボタンは六個、緑地公園で二個外されて今また一つ外すと太腿の半分を見られてしまうかもしれない。

ハァハァッ……風呂上がりや出勤前、ヨガを終えてシャワーで汗を流した後などにスタンドミラーに全身を映すと、小柄ながら均整がとれてムッチリとした身体はなかなかのものだと思う。
最近の若い女子が好む体型とは違うだろうけど、色っぽくて魅力的だと自分でも思うし酒の席などで素面では言えないようなセリフで身体を褒められて誘われたこともある。
そんな誘いに惹かれることは一度もなかったけど、色々と見学や経験した今はどうだろうと
思わずにいられない。
チリンチリンッ……「よし、好いだろう。彩のエロっぽさが強調されたよ。もっとも、彩の咎めるような視線をものともせずに見る勇気があるかどうかだけどね」

彩が振り返ると通りを歩いていた男性と視線が合い、何を考えているのかこちらに向かって歩き始める。
「早く、こんな処にいると通りを歩く人にアダルトグッズを欲しがるエロ女って思われちゃう」
健志の手を取り急き立てるようにして、けばけばしいポスターを張りまくった階段を上がった彩は自動ドアを前にしてフゥッ~と息を吐く。
「彩の趣味をとっくりと拝見させてもらうよ」
「ここまで来てジタバタするつもりはないけど、やっぱり嫌な男」
ウィ~ン……抗議の意思を込めて健志の胸を叩こうと彩が動くとドアが開き、誘われるように店内に入る。
三階建てビルの二階ワンフロア―でも十分な広さがあり、オモチャやDVDが整然と並び商品説明やイベント案内のポスターが所狭しで貼られて客の目を楽しませる。
駅に近い繁華街の入り口でウィンズも近くにあり、彩の印象は客の入りも良さそうに思えるものの、このような業態の店の規模や客数などは見当もつかない。

「見て、なんと言えばいいのか分からないけど青少年育成に貢献しているのかなぁ」
彩が視線で示すポスターには、学生証の提示で5%OFFと書いてある。
余裕のある表情で笑みを浮かべた彩は店内を見回してDVDコーナーに向かい、あれやこれやと手に取り熱心に見入る。
野外露出モノを手に取り、乱交やレズビアンにSMとジャンルに拘りがあるようにも感じられる。彩が手に取るDVDを記憶にとどめた健志は周囲に視線を走らせる。
二人の後を追うようにして入店した男が陳列台に隠れるようにして彩を見つめている。
「彩、見覚えがあるだろ??」
「えっ……こわい、変な事をされないよね」
「大丈夫だよ、そんな事をしそうになったらオレがぶっちめてやるから安心していいよ」
さすがに女性の一人客は見えないものの、他にもカップル客がいるのに彩以外の女性客には目をくれる様子もなく見つめられるのは気持ちが悪いしボタンを外したスカートが気になる。

男から逃げるようにというのは方便で、直ぐにも見たかった商品がある棚に移動する。
縄やボンデージテープ、首輪に拘束具などに手を伸ばすことなく見つめて、昂奮で乾いた唇に舌を這わせて滑りを与える。
「せっかくだから手に取ってみなよ。来たかった店なんだろう??」
「ネットではこんな商品を見たことがあるけど、ほんの少し手を伸ばせば届く処にこんなに色々あるからドキドキするし、くらくらする」
チリチリチリリン……股間の鈴の存在を忘れて前屈みになり、真っ赤な縄に手を伸ばした瞬間、かろやかな鈴の音が静かな店内に響く。
えっ、いやっ……思わず漏らした彩の声が来店客の興味をひき、商品選びに熱中して彩の存在に気付かなかった客たちもチラチラ気にして、離れた場所にいた男たちも異変の元を探し当てて遠巻きにし、じろじろと遠慮することなく足元から顔まで視線を移し胸や股間に鈴を仕込まれているのではないかと見つめる。

「なに、今の音は鈴じゃないの??ねぇ、聞こえたでしょう??」
カップルの女が男に聞く声が彩の耳にはっきり聞こえる。
そばにいる健志が気付くほど彩の身体は震え、腕に絡ませる手がじっとり汗ばんでいるのも分かる。
「彩、遅くなったから帰ろうか??適当にいくつか選ぶけど欲しいものがあれば追加していいよ」
その言葉に救われたという表情の彩は、健志の手の中の真っ赤な縄とチョーカー、ローターやバイブ、リモコンバイブに目をやり、一瞬不満の表情を見せる。
「あっ、アナルグッズを忘れちゃだめだな」
「だめっ、声が大きい。これも欲しい」
アナルグッズと彩の選んだ電マを加えてレジに進む。

「まいど、ローションをおまけしとくよ、タケちゃん」
「羨ましそうな顔をすんなよ。このオモチャたちのせいで今日は寝かせてもらえないかもしれないんだよ……なぁ、彩」
鈴の音のせいで店内の注目を一身に背負い、羞恥で火照る身体を丸めて健志の背後に隠れる彩の乳房をセーター越しにギュッと掴む。
「ウッ、やめて。恥ずかしい」
顔を顰めて羞恥と苦痛で上気する彩の表情は艶めかしく、レジ係が健志を見て羨ましそうな表情になるのを見て優越感に浸る。
「ローションをありがとう。今日は帰るよ」
「あぁ、必要なモノがあれば連絡くれよ。帰りに届けるからさ」

チリンチリン……ようやく、羞恥から解放されて店を出るのだと思うと恥じらいを忘れて健志に歩幅を合わせ、再び鈴の音を響かせてしまう。
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ちっち

Author:ちっち
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アッチイのは嫌
さむいのも嫌
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