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彩―隠し事

ステーキハウス   

夕刻のホテルは、待ち合わせのカップルや友人と食事を楽しもうとする人たちの幸せに満ちた姿がそこかしこに見られ、淫靡な思いを胸に秘める彩は場違いな景色に待ち合わせ場所を間違えたかなと苦笑いを浮かべる。
10分と経たずにロビーに現れた健志は左右を見渡して彩を見つけると破顔一笑して近づいてくる。

「ごめんなさい。夫が不倫相手とデートするようなの。それを聞いたら急にあなたと・・・健志に会いたくなって我慢できずに・・・急でごめんなさい」
「そんなことないよ、ありがとう。連絡を待ちわびてチンチンがボッキボキだったよ」
「いやんっ、声が大きい・・・今日は泊まれないけど、彩にとって健志が大切な存在だって伝えかったの。食事はファストフードでいいよ」
「彩との食事を雑に扱いたくない。セックスが全てって歳でもないしね」
「クククッ、彩は夫とのセックスが絶えて久しいから抱いてもらおうと思っていたのに・・・」
口元を緩めて面白そうに彩を見つめる健志は腰に手を回してエレベーターに向かって歩き始める。
「彩が仕事をしているところを見てみたいな。スーツが似合っている。制服や仕事着が似合っている人はその道の一流だと思っているからね。ショーツも穿かず股間を濡らした彩が仕事する光景を想像して昂奮するよ」
「クククッ、残念でした。今日は下着を穿いています・・・見たい??」
「そうか、穿いているのか・・・そうだよな」
何を納得したのか、そうだよなと言った健志は彩の頬を両手で挟み、唇を重ねる。
チン・・・目的のフロアに着いたエレベーターは何事もなかったかのようにドアが開き、彩はキスに対する返礼も思いを伝える時間も与えられない。
初めてデートする中学生や高校生のように手をつないだ二人は歩き始める。

「ステーキで良い??」
ステーキハウスが正面に見える位置に来てから好いかと尋ねる強引ささえ、健志の口から出ると心地いい。
テーブル席を希望した健志は案内された席に着くなり、
「時間がないんだろ??食事の後はドライブでいいかな??」
「今日は急にごめんなさい・・・健志に対する彩の思いを伝えたかったの」
「分かった、彩から連絡をもらえただけで嬉しい。一つ手に入れば二つ目を欲しくなる、オレは欲が深いんだよ。でも彩に会えて無用な欲は捨てることにした・・・オレはワインを止めとくけど彩は赤で良い??」
「彩もミネラルウォーターでいい。彩はね、スピードがスリルにつながって、スリルは性感のスイッチなの・・・ドライブでスイッチが入るとどうなるか分からない、責任を取ってよね・・・クククッ」
健志に向ける淫蕩な笑みは何かをけしかけているようにしか感じられず、健志は彩を見つめて悪戯心を宿した笑みを返す。

オーダーを済ませた健志はグラスの水を指につけてテーブルに移し、中指と人差し指の二本でクチュクチュ塗り広げながら舌を唇に這わす。
「クククッ、いやらしい。アソコをあなたの器用な指で愛撫されているような気になる・・・こんなところで、スケベ・・・」
彩の瞳は妖しく光り、左手で頬杖をついて右手をテーブルの下に伸ばす。
さりげなく周囲に視線を走らせて股間を擦り、頬杖を突く左手の小指を舌先が舐める。
「脱いで、早く」
「えっ、なに??何を言っているの??彩はどうすればいいの??」
「下着を脱ぎなさい、ショーツを脱ぐんだよ、分かるね」
「えっ、ここで、今??」
「そうだよ、早く」
健志が本気だと悟った彩は淫靡な好奇心も手伝い、周囲に視線を走らせてテーブルの下を覗く。
「ダメ、変な動きをすると気付かれちゃう。レストルームに行ってもいいでしょう??脱いでくるから・・・だめっ??」
「いいよ。いいけど、レストルームならブラジャーも追加だな。早く行きなさい、ステーキがきちゃうよ・・・早く」

健志が知るのは奔放で淫らな享楽に耽る彩であり、ほとんどの人が知る清楚で上品な姿を知らないどころか優子と言う本当の名前さえ知らない。
それでもちょっとした立ち居振る舞いがエレガントで、今もまたレストルームに向かうために椅子から立ち上がる様子が優雅で無駄な動きがなく、歩く姿も背筋が伸びて膝下の動きが優美で見ているだけで表情が緩むのを抑えられない。

再び姿を見せたものの先ほどまでの颯爽とした彩は姿を消して、心細げに見えて健志の心が痛む。
「恥ずかしい。ドキドキしているし歩くとフワフワするような感じがする」
「脱いだ下着を預かっとく」
素早く手渡された下着を確かめることもなくポケットに入れる。
席を外していたタイミングで運ばれた料理の美味そうな香りに反応する様子のない彩に食べようと促す。
健志はセックスへの好奇心と美しいマナーで食事をする女性に惹かれる。
成熟した男女のセックスは単に生殖行動だけではなく、心も身体も満足する好奇心に満ちたものであるべきだと思うし、生きる上で欠かすことのできない食事が命を永らえる目的だけではなく楽しみである必要があると思っている。
食事を共にする相手が美しく楽しそうに食べる様子を見るのは心地好いし、新たなエネルギーが身体の隅々に行き渡るのを感じる。
下着を脱いだ彩は衆人の視線を恐れて不安の只中にいるようだが、それでも美しい姿勢で食事する。

「彩、ほんの少しでいいから昂奮させてくれよ」
エッと声を上げて、ナイフとフォークを置いた彩は一瞬小首をかしげ、ほんの少し上着を開いて胸を張り、乳房の先端がキャミソールを突き上げてブラジャーを外した証を見せる。
アンッ・・・ウフフッ・・・指の腹が突き出た乳首を撫でると艶めかしい声を漏らし、自分の声に驚いて周囲に視線を走らせる。
「クククッ、やっぱり彩は可愛いな。いつも一緒にいたいよ、ドラえもんに頼んでスモールライトを貸してもらいたいな」
「ほんとう??じゃぁ、お礼とご褒美を上げなきゃね・・・うっ、クククッ」
素早く周囲を見回した彩はステーキの付け合わせの野菜を摘まんだ手を股間に伸ばし、蜜をまぶして健志の目の前に突き出す。
「人参のグラッセか・・・今日は一段と照りが出て美味そうだな・・・美味い、彩風味のグラッセは照りがいつもより出ているし隠し味が最高」
「クククッ、ありがとう・・・この人参は、よく見ると誰かのアレに似てる。ペロペロしちゃおうかな。ウフフッ、甘い。最後はゴリって噛み切っちゃう」
「ひっ、痛い・・・彩と一緒だと何をしても楽しい」
「うん、彩は健志と一緒だと何も隠さずにいられる・・・もっと早く会いたかった。それだけは神様を恨んじゃう」
「行こうか、時間がないんだろう??」

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