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キャバ嬢

部屋ー1

「ありがとう。今日は来られないって聞いたから期待してなかったのに」
「マリッペのメールで仕事が手に付かなくなっちゃった。その笑顔を見ると元気になれるしね」
「ごめんね。無理させちゃって。ちょっと、へこんでたから顔を見たかったの」
「どうした??いやな客でもいたの??」
「うん・・・昨日、最後のお客様が、ちょっとね・・・」
「マリッペは可愛いから構いたくなっちゃうんだよ」
「そんなんじゃない。いつも指名してくれるお客様なんだけど、腿のおさわりは当たり前で油断してるとオッパイまで触ろうとするしね・・・」
「男は勘違いしちゃうんだよ。営業と判っていても、もしかすると俺は特別かもしれないとか、俺に見せる笑顔は本気だ・・・なんてね。客は皆、何がしかの期待や目的を持って来るから」
「柏木さんもそうなの??それにしちゃアフターを誘ってくれないし」
「疲れたマリッペを引きずり回したんじゃ申し訳ないだろ」
「フフフッ・・・そうやって、いつも巧く逃げちゃうんだよね。麻里が本気だって知ってるくせに・・・」
「でも、同伴は出来る限り付き合ってるよ」
「食事とお茶だけはね・・・例のお客様の真似をしちゃおうかな??」
「うん??例の客って??」
「これだから・・・昨日の最後のお客様のことだよ。アフターを誘われたんだけど、ワンちゃんが待ってるから、アフターはお付き合い出来ませんって断ったの」
「ぬいぐるみのワンちゃんだね。うん、それで・・・どうなった??」
「麻里をこれ以上指名してもしょうがないから、指名替えしようかなって・・・麻里は構わないんだけど、癪だしね・・・麻里も、お気に入りのお客様を替えちゃおうかな・・・」
「オレが指名したらどうする??」
「一応は席に着く・・・すぐに他のお客様についてヘルプ任せ・・・」
「そりゃ困るな」
「夜の女はね、いろんな男を見ているから疑り深いの・・・男を信じたいけど信じ切れない。優しい振りをする男や嘘の上手な男は掃いて捨てるほど見てきたから」

「麻里さん、お願いします」
「あらっ、指名が入ったみたい」
「いいよ、待ってるから・・・」
「ほんと??待っていてくれるの??」
「あぁ、優しい振りはしてないし、嘘つきじゃないって証明しなきゃマリッペに嫌われちゃうだろ」
「嫌な男はね女を喜ばせるのも上手・・・本当に帰っちゃだめだよ」

「沙織と申します。よろしくお願いします」
「沙織ちゃんか、初めてだね」
「私は柏木さんのことを麻里さんからよく聞いています。麻里さんが、このメモとキーを渡してくれって・・・」
「うんっ、キーか??」
「判っていると思うけど、これを受け取るには覚悟が必要ですよ・・・麻里さんは本気だから」
「判ってるよ。沙織ちゃんは、麻里ちゃんと仲がいいの??」
「麻里ちゃんだって・・・フフフッ、マリッペでしょう。この店は入ったばかりなので、よく判らなくって・・・麻里さんには色々お世話になってます。柏木さんに対する愚痴も聞かされていますよ・・・」
「沙織ちゃんに苛められるのは堪んないから帰ろうかな」
「はい、それがいいと思います。テーブルの上にグレンフィディックがあると思いますが、麻里さんは柏木さんがこの部屋に来てくれた時、一緒に封を開けるのだと言っていましたから開けないほうがいいですよ」
「オレよりも先にマリッペの部屋に入ってるんだ」
「そうですよ。柏木さんの愚痴を聞くためにね。夜の女は、お客さまとは店だけの関係だと思っているけど、惚れたって言う時は本気ですよ」
「誘うには時間が経ちすぎて、切っ掛けが掴めなくなっちゃったよ」
「柏木さんも気がついていると思うけど、麻里さんはこの仕事が長いから、男が誘いたくなるようにするのは上手に出来ます。でもね、仕事だから断るのも上手。柏木さんには、つい強がって普段は得意な、誘われ上手が影を潜めちゃうの・・・麻里さんの部屋でお帰りって迎えれば喜びますよ。後は、言葉は要らないと思います。抱きしめるだけで良いと思います・・・ごめんなさい。余計なことを言いました」
「いや、参考にするよ。ありがとう。薄めの水割りを作ってくれる??」
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