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お伽話

心花 -21

腰から下が隠れる手洗い場の後ろ側でワンピースを捲り上げられて尻や腿を撫でられ、土曜日を公園で遊ぶ人たちの視線を気にしながら羞恥と快感がないまぜになった秘密の時間を過ごして公園を離れようとしている。
先ほどまでの痴態は何処へやら、髪を整えワンピースの乱れを直して公園を歩く心花は普段の洗練された動きを取り戻し、それを見る母親たちは羨望の眼差しをおくる。

仕事ではテーラードスーツを身に着けてハイヒールで颯爽と歩く姿をイメージし、深夜、鏡の前で密かに歩行練習する事もあった心花は自然とこんな時でも背筋を伸ばして膝下が良く伸び、格好良く歩く。
普段はすれ違う人たちの視線に慣れている心花も、さすがに今日は自然を装って歩いていても脱がされた下着が典哉のポケットに入っていると思うと不安がよぎる。
「ねぇ、見えない??ワンピース越しに透けて見えてない??・・・大丈夫だよね??」
「大丈夫だよ。初対面の時はオレも見惚れるほどミカの後ろ姿は格好良かった・・・あっ、勘違いしないで、後ろ姿以上に前から見る美しさに圧倒されたけどね」
「うん、あの日は面白くない事があったから、美しいって褒めてくれたフミヤに絡んじゃったけど、ごめんね」
「今、ミカを見る視線はそういう事だよ。美しいって事以上に仕事もバリバリこなして、それが表情に出て生き生きしてる。後ろ姿も凛として格好いいよ・・・ミカと同じように格好良く生きたいと思っている女性には憧れの対象だし、ただ格好いいなと思う女性には羨望の的、自信を持っていいよ」
「そうなの??私が怪しく見えているんじゃないんだね、信じる」
覗き込むように典哉を見る心花の表情から不安が消えうせて笑みが浮かび、つなぐだけだった手を解いて腕を抱え込む。
ワンピース越しに乳房の柔らかさを感じて頬を緩める典哉は心花の腰を抱き寄せて髪に顎を擦りつける。
「痛いっ・・・フフフッ、幸せ・・・」

腰を抱く左手がいつまでも静かにいるわけもなく、公園の出口に近付くとワンピース越しに尻を鷲掴みにする。
「いやんっ、変な事をしないで・・・気付かれちゃう」
笑みを含んだ抗議に、尻が嫌ならここはどうだ??と右手が胸を撫でる。
典哉の右手をそのままにして公園を振り返ると心花の容貌に惹かれていた人たちも今はすでに興味を失い、誰一人として後姿を見る者はいない。
見られるかもしれないという不安が快感に変化するのを意識していた心花は、公園を去る自分を誰一人として見てくれないことにガッカリする。
典哉は心花の表情を読み取って心の内を推測する。

車のスピードが性的欲求を刺激する人がいると聞いた事がある。
スリルが性的な快感を刺激するのなら、心花も見られるか見られないかという状態で身体の昂ぶりを堪えていたとしても不思議ではない。
尻を掴んでいた左手が割れ目をなぞり、顔を近付けて耳に息を吹きかけると崩れ落ちそうになる。
「アウッ、いや・・・そんな事をされたら・・・」
「ミカは敏感だな・・・部屋に戻るまで止めよう。こんなところで挿入をねだられたら困るからな」
「バカッ、そんな事をねだるわけはないけど、我慢も限界近くに達してる。これ以上エッチな事をされたら変な事になりそう・・・」
いつもと同じように颯爽と歩くことは出来ないものの、下着を着けない事に慣れた心花には違和感がみられない。
「休憩したい・・・なんだか分からないけど疲れちゃった」

ホテルへ戻る途中のビルの一階でエスカレーターに乗り二階に向かう。
当然のように心花を先に乗せた典哉が何もしないわけがない。
「フミヤ、変な事をすると嫌いになるからね・・・ほんとうだよ」
前後を確かめてエスカレーターが一瞬とはいえ街中の死角になっているのを確かめてワンピースの裾に手を侵入させる。
ウッと声を漏らした心花は手すりを握って唇を噛み、嫌いになるよと言った舌の根も乾かない内に新たな刺激の予感に身を焦がす。
内腿を膝から付け根に向かって撫で上げられるとフルフル震える腿を新たな蜜が滴り落ちる。
「着いたよ」
二階に着いたのも気付かないほど上の空だった心花はつんのめるようにエスカレーターを降りて典哉を振り返る。

平日は商談や待ち合わせで賑わう店内も静かな時間を過ごす人たちが何人かいるに過ぎない。
腰の高さのパーティーションが他からの視線を遮る窓際の席に座ると店員がオーダーを取りに来る。
「いらっしゃいませ」
「ブレンドコーヒーを二つ」
オーダーを繰り返して確認した店員が軽く会釈して下がると心花はとおりをあるく人たちに視線を移す。
家族連れやカップルに混じり、人込みを掻き分けるようにして歩く男性がいる。
「あの人は駅に急いでるのかな、それとも待ち合わせに遅れそうだから焦ってるのかな??」
「オレは時々だけど、この席で通りを歩く人を見ることにしてるんだよ。今日のオレはあの人かな、それともあっちの人かなってね・・・自分の事は気付きにくいもんだけど、他人を通して自分を確かめるって面白いよ」
「ふ~ん・・・人を観察するマンウォッチングじゃなくて自分発見なの??面白そう、私もやってみようかな」
「今日のミカはこの場所で自分発見はムリだろう??」

「お待たせいたしました・・・ごゆっくりどうぞ」
「ありがとう」
店員が下がると口を尖らせた心花がどうしてだと説明を求める。
「おっ、その表情も可愛いな」
「はぐらかさないで・・・何を言いたいか分かってるけど、フミヤの口から聞きたいの」
「あっ、あの人を見てごらん。信号待ちをしてる女性だよ、パンツスーツでバッグを下げてる人。平日のミカはあんな風に颯爽として格好いいんだろうな、初めて会った日のミカが目に浮かぶよ」
わざとらしく目を閉じて思い出すような振りで口元を緩める。
「誤魔化さないで、平日の私じゃなくって今日の私は??」
「今、見える女性の中に・・・パンツを脱いでアソコをグショグショに濡らしてる人はいるかなぁ??・・・う~ん、いないな」
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