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お伽話

心花 -18

追加の買い物を終えるとそのままウインドーショッピングを楽しみ、通りを歩く人たちを見ながらガリガリ君を食べてゆったりと流れる時間を楽しむ。
「久しぶり、こんなにゆったり過ごすのは・・・男性に負けまいとして頑張りすぎてたんだね」
「このガリガリ君に感謝するかい??あの日、オレがガリガリ君をかじってなければ、今日、この瞬間を別の場所でこれまでと同じように過ごしていたんだろ??」
「そうね・・・私は偶然を信じない生き方をしていたの。頑張ればそれに見合う成果は必ず現れる。努力をしないで成果を望むのは厚かましいってね」
「今は??」
「やっぱり偶然は信じない・・・偶然を信じるって事は今までの私の行き方を否定することになっちゃうもん」
「そうか・・・もう少し歩こうか」

穏やかな日差しが二人の背後に影を作り、眩しそうに目を細める心花は見慣れたはずの景色に新鮮な感動を覚える。
12月が近くなれば煌びやかなイルミネーションで飾られる街路樹や街灯も本来の姿のままで佇んでいる。
目を閉じると光のアーチの下を典哉に寄り添って歩く自分の姿が目に浮かぶ。
先日、仕事帰りに見て可愛いと思ったモコモココートを買おうと密かに決める。
男性に美しいとか可愛いと言われるのは見下されているように思えて不快に感じる事もあったが典哉に会ってからはそんな風に思う事は少なくなった。
モコモココートを着た私を可愛いと思ってくれるだろうか、そんな事を思うと知らず知らずの内に口元が緩む。
「どうしたの??」
「秘密、ちょっと考え事をしてたの・・・今までの生き方を否定したくないけど、もしも、もしもだよ、偶然が神様からのプレゼントなら信じるよ」
「・・・うん、そうだね。人知れず頑張った人に神様が偶然を装ってプレゼントする・・・ウン??オレは神さまからミカへのプレゼントって事になるのか??」
「クククッ、そうだよ。嬉しい??」
一歩前に出た心花は振り返り、典哉を見つめて楽しそうに話しかける。
「可愛いな、ミカは・・・」
「フフフッ、フミヤに会う前はね、男性に可愛いって言われるとすごく嫌だったの・・・セクハラって叫びたくなるほどだったんだよ」
「おやおや、今は??」
「ほかの男性はどうか分からないけど、フミヤに言われると嬉しい。言われる度にドキドキするもん」
「・・・キスしてもいい??」
「・・・いいよ。後ろを歩く人の邪魔にならない所でなら・・・」

歩道の端に避けて建物を背にして立つ典哉は心花を抱き寄せて軽く唇を合わせる。
心花は典哉の腰に手を回して身体を支え、上体を反らせて抗議の言葉を口にする。
「そんなじゃダメ。真面目にキスして」
見つめる心花の瞳に欲情が宿り、妖しい光が典哉の心を貫き通す。
目を閉じて首を傾げる心花を支えた典哉は唇を挟んで舌先でなぞり、鼻を擦り付ける。
自然と心花の唇は開いて典哉の舌を受け入れ、侵入してきた舌に自ら積極的に絡ませて流し込まれた唾液をゴクッと音を立てて飲み干す。
「ハァハァッ、エッチ・・・」
窓に映る人の群れを見た心花は振り向くことも出来ずに典哉の胸に顔を埋める。
横目で見ながら非難がましい視線を送る人はいても立ち止まる人はいないので、しばらくそのままでいるとキスした事を知る人はいなくなる。
信号が赤から青に変わった瞬間、二人に視線を送る人はいなくなり、足早に横断歩道を渡る人たちに紛れて歩き始める。

「お腹が空いた。何か食べようよ」
前夜のセックスで満足して土曜の朝の惰眠を貪っていた処を性的な悪戯で目覚め、カーテンを開け放たれた窓から差し込む陽光の中で、女に生まれて良かったと思えるほど満たされた身体にフレンチトーストの食事だけでは足りなかったのか心花は食事をしたいと言う。
「そうだね、昼食にしようか。何を食べようかな・・・」
「クククッ、ホテルに戻ったら私のベビードール姿を見て欲情するんでしょう??違うの??」
「う~ん、避けがたい欲求だね・・・ウナギにしようか??」
「任せる。土用のウナギじゃなく、土曜日のウナギ」

線路沿いに数分歩き、住宅街で隠れるような佇まいの店に入る。
うな重を頼み、焼き上がりを待つ時間を肝焼きと骨せんべい、うまきを冷酒で楽しむことにする。
猪口グラスの感触が心地良く冷酒が身体の隅々まで染みていく。
「グラスの冷たさが逆にフミヤの熱いモノを思い出させて昂奮する」
「クククッ、ねっとりと甘くさえ感じる酒はミカのアソコから溢れ出る蜜のようだね」
「うそ、この酒はスッキリと切れがいいよ、舌がおかしいんじゃないの」
「クククッ、ベビードール姿のミカを想像すると、どんなに旨いものを出されても味わうどころじゃないな」
「フフフッ・・・せっかくのウナギ、ちゃんと味わわなきゃ。私を味わう時間はたっぷりあるわよ」
胸の内にあるドロドロとした思いを旨い蒲焼と共に飲み込んで満足した二人は来た道を戻る。
「フミヤは近くに住んでるの??」
「この間の公園のチョイと先だよ。ミカは??」
「モノレールで3駅の所。先日は公園の近くに住む友人を訪ねるところだったの」
「ふ~ん、そうか・・・」
「公園に行ってみたい。行こうよ、ねっ」

土曜日の公園は小さな子供連れの親子やサッカーに興じる男の子達の喧騒で溢れ、二人が会った時の住宅街の静かな公園という趣は感じられない。
自動販売機で紅茶を買って先日と同じ公園の全景を見渡せるベンチに座る。
「運って信じる??」
「運か・・・オレは信じるよ。努力をすれば必ず報われるって事でもないし、努力の結果を左右するのは運だと思ってる。その運を司るのは女神さまで、女神さまに愛された人に幸運はついて回ると信じてる」
「フミヤは女神さまに愛されてるの??」
「愛されていると思っていたし、間違いないって確信したよ。ミカとこうやって並んで座っていられるんだからね・・・しかも、ミニ丈のワンピースから覗く白くてムッチリの太腿を撫でる権利まで与えられているんだから」
「クククッ、ここで、撫でることができる??」
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

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さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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