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男と女のお話

蒼い海 

「雨でヒマだからもう閉めちゃおうかな・・・アキちゃん、あがっていいよ」
「はい。看板を片付けます」
「お疲れさま・・・送ろうか??」
「そんな事をしたらママに叱られます。木崎さん、ママをいつまでも待たせないであげてね・・・お先に失礼します」

「やっぱり若い子のほうが良い??」
「ヤキモチ焼いてくれるの??」
「嫉妬なんて言葉は忘れちゃったわよ・・・あのね、アキちゃんだけじゃなく、お客様のなかにも私とアナタに何かあると思っている人がいるよ」
「そんな事はないだろう、居たとしてもごく少数だろ??客は皆、口説こうって思っているんだろうから」
「アナタのことを遠まわしに聞くお客様はいるわよ・・・」
「ママは好い女だからな・・・」
「本気の言葉なら嬉しいのに・・・」
「男は何年も生きると臆病になる」
「女は待ちくたびれると萎れてしまう」
「ママはまだまだ若いよ」
「女はね、いつの間にか年をとってるの・・・今年は大台到達だよ」
「そうか、オレはママより20近くも上だよ」
「私はね20歳くらい年上の人がいいな」
「苛めないでくれよ」
「判った、もう終わり・・・仕事モードは終わり。隣に座ってもいい??」


「私にも水割り作って・・・薄いのがいぃ」
「・・・乾杯」
「2人の将来に乾杯・・・クククッ、迷惑だった??」
「・・・久しぶりだね、並んで座るのは・・・」
「なんか、疲れちゃったな・・・いつまでこの店を続けられるのかな??」
「ママの事を口説こうって客が雲霞の如くいるんだから大丈夫だよ」
「店は閉めたんだからママは嫌・・・希美って呼んで」

「私の膝で眠りたくない??」
「予約が入ってるんだろ??」
「そんな噂があるらしいけど・・・って、言えたらいいんだけど」
「おや・・・どっちの膝が空いてるの??」
「どっちも予約は入ってない、両方空いてるよ」
「じゃ、膝枕でちょっと寝てもいいかな??」
「いいわよ、ここじゃムリだからボックス席に移る??」

「重くない??」
「大丈夫。ウフフッ・・・こうやって見てると案外と可愛いね」
「くすぐったいよ、そんなとこ撫でられたら・・・」
「じゃ、ここは??」
「男も髪を撫でられると気持ちいいんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「嫌じゃなきゃ、毎日、髪を撫でたげようか・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「寝ちゃったの??・・・あのね、女は覚悟を決めるとどんな重いものでも、一生背負う覚悟が出来るんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「いつまで待っても、希美に対する雅之の気持ちは変わらないのかな??」
「男は大切だと思うほど背負うには覚悟がいるんだよ」
「えっ、聞いてたの??恥しい・・・」

「どこか旅行でもしようか??」
「泊まり??」
「あぁ、オレのために店を休んでくれる??」
「・・・うん、休む」
「よしっ、どこがいい??」
「暖かいところがいい。私が生まれた所はね、冬になると海が蒼い色になるんだよ・・・冬でも青い海を見たい」
「明日、どこがいいか探そう」
「うん。抱っこして欲しい・・・」

「可愛いよ」
「私を抱っこしても重くない??」
「希美を抱っこすると・・・」
「どうしたの??」
「希美の身体はいい匂いがするなと思って・・・」
「これから、望んだ時はいつでも抱っこしてくれる??」
「旅行先を決める前に指輪を買いに行こうか??」
「ほんとに??・・・ずっと、背負う覚悟してくれたの??」
「希美さえ嫌でなければ」
「ばかっ、待ちくたびれたんだから・・・」


                              <<おしまい>>
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