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不倫 ~immorality~

再会―2

いつの間にか睡魔に襲われたらしくカーテン越しに水曜日の陽の光を浴びて目覚めた彩は、目を眇めて時計を見る。
タイマーをセットした時刻より早く目覚めた事に安堵し、大きく伸びをしてPCに目をやって怪訝な表情になる。
どういう積もりなんだろう??昔、別れの言葉を突然電話で伝えた事の侘びなら今更言う必要はないはずだし聞きたいとも思わない。
もしや・・・まさか・・・爽快感に包まれた目覚めとは言い難いものの、新たな何かが生まれそうな予感に心が沸き立つ。
夫との関係に距離を感じているだけに新しい出会いを欲しいと思うものの、仕事に追われる日々と人見知りをする質でもあり、悶々とした日々を送っていたが沸々と大きくなる期待が指を股間に向かわせる。
アンッ、いやっ、気持ち良くなっちゃう・・・クチュクチュ、ニュルニュル・・・いつにもまして性的な感度が良くなっている身体は、昨晩に続き簡単に昇り詰めてしまう。

シャァッ~・・・身体を叩くお湯が心地良い。その刺激が心の奥底で澱のように存在する記憶を蘇らせる。
「彩・・・目覚めた時、指先に触れる肌の感触に幸せだなぁって思うよ」
「起きたときだけ??・・・寝る前は??」
「オレに背中を見せて横向きで寝る彩を後ろから抱いて、腿の間に手を入れる。ムッチリあんよの感触が大好きだよ・・・いつまでも、このままで居たい」
健との想い出は楽しかったがゆえに、電話での別れの言葉に空しさと儚さを感じ、ぶつける先のない不条理に思い悩む日々を過ごした。
健に抱かれた記憶が蘇る。対面座位で貫かれたまま唇を合わせ、背中と尻に回した手で身体を支えられて、ベッドのスプリングを利用して下から突き上げられる。
イヤァ~ん、ハァハァッ・・・記憶の中で漏らしたはずの声がバスルームに反響し、思わず漏らした喘ぎ声で我に返ると指が股間に伸びていた。
アッ、アンッ、だめっ・・・指先が湿り気を感じ、ぬかるみに吸い込まれそうになる・・・健に会いたい、胸の奥に沈殿する怒りをぶつけたい。
出勤時刻の近付いた事を思い出し、温度を下げたシャワーで身体の火照りを冷まして股間のぬめりも洗い流す。

<改めて連絡します・・・健>
短い文面の最後の言葉が気になり仕事が手につかない。普段の彩なら間違えるはずのない過ちを犯しては、熱でもあるんじゃないの??どっか悪くない??と、同僚に体調を気遣われる始末の一日を過ごしてしまった。

前日、残業で遅くなるからと言って、帰って来なかった夫の事は気にならない。いつもは、どんな女性を抱いているのかと思うと、苛立ちと諦めで気分が滅入っていたが、健の連絡を期待して自然と頬が緩む。
理由もなく別れの言葉を告げられた恨みをどう伝えようか・・・ブログには結婚したと書いてあるのを承知の言葉とすれば、健は今でも独身なのだろうか、それとも離婚して独り身なのだろうか??
コメント欄に健の名前を見た時の戸惑いや怒りは、今や中身の伴わない漠とした期待に変化している。

マンションのエントランスで一回り以上年上ながら仲の良い住人夫婦に会う。
「こんにちは。お二人でお出かけですか??」
「お帰りなさい、彩さん。・・・そうじゃないの、サラリーマン時代は仕事、仕事で私の事はお手伝いさんと間違えているんじゃないかと思っていたけど、定年になった途端、買い物に行く私についてきたり、台所に立てば台所に、風呂の掃除を始めればそばに立って見ていたりと、金魚のウンチみたいな人になっちゃったのよ」
「おいおい、金魚のウンチは酷いな・・・」
「今まで、威張っていた反動で私に捨てられるんじゃないかと心配なんだと思うよ・・・下着が何処にあるかどころか、お茶も淹れられない自分に愕然としたんじゃないの??」
「う~ン・・・まぁ、それに近い感情はあるけどな・・・早く行かないと、スーパーが閉まっちゃうよ」
「これだからね・・・あなた、スーパーは23時までやっていますよ・・・彩さん、それじゃぁネ」
寄り添って歩く二人を見送る彩の表情に羨ましそうな感情が浮かぶ。
言葉とは裏腹に、互いを信頼し尊敬しあっている様子が見て取れる。これまでも、そしてこれからも、それは途切れたり薄まったりする事なく、益々深くなっていくのだろう。
それに比べて彩の人生は、何処で間違えたんだろう??

チン・・・エレベーターに乗り込んだ途端、ご夫婦の事は記憶の中に押しやって昨日は帰って来なかった夫にどう接するか、その事だけを考える。
結論は、いつもと同じ、知らぬ振りをして厄介な問題は先送りする事にする。
もしかすると・・・浮気をしているはずの夫と同じ事を・・・僅かだった期待が、大きく育ち始める。
メールを確認したいのを我慢して夕食の準備をしていると夫から連絡が入り、一時間ほどで帰ると言う。浮気を悪いと思う気持ちが残っているようで、そんな時は不自然に優しい言葉を口にする。

夕食の準備を終えたので、見たいのを我慢していたメールを開く。
あった。健からのメールが届いていた。
<今どこに住んでいるかは聞かない。今週土曜日12:00ミロで待っている。。。健>
唐突な話にもかかわらず腹が立たない。
期待していた内容に近い事に安堵し、夫にこの事をどう切り出したものか、そればかりが気にかかる。

「ただいま・・・いやぁ、昨日は参ったよ。急な仕事で部下が間違えちゃって、ほっとくわけにも行かないから事後の処理に付き合って、結局はホテル泊まりの羽目に・・・本当にごめんね」
今日は、嘘で固めた言い訳を聞いても腹が立たない。いつ、土曜日の件を切り出そうか、そればかりが気になる。
「やっぱり、急な泊まりで怒ってる??・・・何にも言ってくれないんだもん。悪かったよ、ごめん」
これ以上、相手にしないと逆切れするのは分かっている。潮時と見て口を開く。
「しょうがないよ。仕事だもん・・・彩も仕事をしているから分かるよ」
「そうか、そうだよな・・・仕事を理解してくれる嫁さんを持ってありがたいよ」
「うん・・・・・」
「どうした??・・・何か気になる事があるの??」
言い訳のためと思っても、優しい言葉に心が騒ぐ。
「あのネ、ダメだって言われたら、諦めるけど・・・今度の土曜日なんだけど学生時代の仲好グループで会おうって誘いがあったんだけど、行ってもいい??」
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テーマ : 18禁・官能小説
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