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堕ちる

罠-4

狭いバスタブに立った二人は身体を擦り合う。
ボディシャンプーを垂らして泡まみれの身体を擦り合うと、店で見るドレス姿や、待ち合わせ場所に駆けてきた紅いコートに包まれていた姿からは想像できないほどムッチリと魅力的な姿態で、萎えた股間も時間の経過と共に再び力がこもりそうな気がする。
「ウフフッ、色っぽいと思ってるでしょう??・・・スケベオヤジの視線になってるもん」
「そうか、スケベオヤジになってるか??・・・今夜は寝かせないよ。オヤジのウデをバカにするんじゃないぞ・・・クククッ、覚悟しろよ」
「イヤンッ、睡眠の邪魔をされたくない・・・店が引けても帰ってくるのを止めようかな。ウフフッ、うそ。今日は仕事が出来ないかも・・・ベッドに押し倒されて犯されたことを思い出しそう」

眉根を上げて抗議の意思を示し表情は緩めたままの新田を嬉しそうに見つめる紗耶香は、
「怒ったの??犯されたって言ったのは嘘・・・早く抱かれたかっただけ」
「こんなに可愛い紗耶香でも嘘は許さない。寝かさずに啼かせてやるから覚悟して帰って来いよ」

シャワーで汗を流した紗耶香は表情を曇らせ困ったような表情で新田を見る。
「どうした??帰りたくなったか??」
「そうじゃないの、こんな事になると思わなかったから、お泊りセットを持ってないの・・・簡単な化粧道具は持っているけど下着もない」
「食事前に買い物に行こうか。上から下まで、下着からシューズ、化粧品までまとめて買っちゃいなよ。買い物で誰かに会っても同伴だと言えば問題ないだろうし・・・どう??」
「同伴には違いないけど、普通のデートだと思われても私は好いよ」

脱いだ下着は穿きたくないと言う紗耶香は、上下とも下着を着けずにスカート姿で買い物に出たもののビル風がスカートに悪戯を仕掛けないか、デパートのエスカレーターで覗かれないかと気にする様子が微笑ましくて新田は自然と顔を綻ばす。
6時を過ぎていたので大急ぎで買い物を済ませてホテルに戻り、目の前で焼かれる牛肉や魚介類を目で楽しみ、舌で味わう至福の時を過ごした。
部屋に戻って化粧を整え、買ったばかりの衣装を着けて時計を見た紗耶香は、
「店に出る前に、もう一度可愛がってもらいたかったけど我慢する」と、健気な事を言って新田の心を蕩かす。
無言のまま紗耶香を抱き寄せて額にチュッと音を立ててキスをする。
「キャバ嬢の戦闘服を纏ったんだから、ここからはプロの紗耶香だろう。でも頑張り過ぎんなよ」
「うん、ありがとう。ラストまでいなくても好いけど、この部屋で待っていてくれるよね??約束だよ」
「あぁ、待ってるよ。お帰りって迎えるのが楽しみだな」
潤んだ視線を向ける紗耶香は黙って小指だけを立てた左手を突きだし、新田も無言で右手を差し出す。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます・・・ウフフッ、これで大丈夫」
邪念のない笑顔に新田の股間はピクリと反応しそうになる。

同伴出勤に付きあった新田は紗耶香の態度に舌を巻く。
競輪の迫力に興奮し、服を脱ぐ時間も惜しんでセックスを求めた好色さは露も見せずに一人の客として接する。
馴れ馴れしすぎず、かといって空々しい態度ではなく見る者に同伴するだけの親しさを感じさせる。新田にはわざとらしさを感じさせる事なく偶然を装って手や身体に触れ、貴男の事が好きだよ、の合図を送る。
他の客やキャストに知られる事なく、新田にそれとなく合図を送る手管に下心がなければコロリとやられてしまうだろうなと感心する。
店内にいる何人が紗耶香の好色さを知るのだろうと思うと独りでに頬が緩む。
勿論、そうであればこそスカウトする価値があると言える。

新田が席を立つと他の客についていた紗耶香が見送りのために近付いてくる。
店の外に出ると新田の指先を掴み、
「ホテルに帰るんでしょう??お帰りって迎えてくれるんだよね、信じてるよ」
酒のせいとばかりは言えないほど瞳はキラキラと輝き、握った手に力を込めて下半身を押し付けてくる。
「待ってるよ。エロ動画を見ながら責め方を研究しようかな・・・覚悟しろよ。飲み過ぎんなよ」
「イヤンッ、そんな事・・・このまま一緒に帰りたくなっちゃう。ふけちゃおうかな・・・ウフフフッ・・・」

ウィスキーの水割りと別れ際の紗耶香の言葉に酔う新田は、高いビルに隠れたり姿を現したりと、かくれんぼする月の姿を追いながらホテルに向かう。
シャワーで汗と一緒に疲れを洗い流し、タイマーをセットして素っ裸のまま横になる。

うとうとしながら新田は自問する。
<紗耶香を堕としても後悔しないか??>
もう一人の新田が答える。
<紗耶香の好奇心の強さとギャンブル好き。何よりセックス好きだから懸念には及ばない・・・それに、キャバ嬢の何倍もの収入を得る道が開ける>
いつもの通り、もう一人の新田の答えに従う事にする。
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