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堕ちる

カジノ-5

ヒューヒュー、いいぞ、エロっぽいよ・・・ストッキングとオープンブラだけを身に着けてセクシーに踊る女を見た客たちは、思い思いに囃すような声を掛け、歩き回るバニーガールが持つ帽子にカジノチップや現金を投入する。
「何をしているんですか??私以外の人を挑発するような事をしないでください」
ポールに繋がれた男は体躯に似合わない気弱な声を漏らす。
「貴男は私の邪魔をする積りなの??黙りなさい・・・これを咥えて静かにしていなさい」
女は片足にしがみつくようにしている下着を脱ぎ、丸めて男の口に咥えさせる。
「ウッウッ、ウゥゥッ~・・・」
「美味しいでしょう??汗だけじゃなく、オシッコも浸みてるかもね・・・アンッ、たくさんの人が見てくれるから興奮する。口を使えないから、そうね・・・鼻の頭でクチュクチュしてくれる??出来るでしょう??」
台本でもあるかのように二人のやり取りは他の者の笑いを誘う。
女は男の頭に手を置き、顔に股間を擦り付ける。
ウッウググッ、グゥッ~・・・ピチャピチャッ、ジュルジュル・・・エッ、イヤッ、どうして??どうしてなの??良くなっちゃう、アッアンッ、アウッアァッ~・・・股間を押し付けられて苦しそうな声を漏らしていた男が顔を上下左右にリズム良く動かし始めると、女は眉間に皺を作って困惑の声を漏らし、次第に悩ましい悦びの声に変化する。

「ハァハァッ・・・上手だよ、気持ち良くなっちゃった。オマンコがビショビショになっているのが分かる??・・・エッ、どうしたの??貴男の鼻、先端がテカテカ光ってるよ。いやらしいね、本当に」
男の鼻頭はライトを反射して淫靡に輝き、女の股間はルーレット台付近から見ても、溢れる蜜が内腿にまで滴っているのが分かる。
「ウッ、ウグ・・・グググッ・・・」
下着を噛まされたままの男は持って行き場のない中途半端な快感に身を捩り、呻き声を漏らす。
「貴男も気持ち良いの??私は我慢できなくなっちゃった・・・見て、誰でもいいから私を無茶苦茶にして・・・いぃ、見てね」
縛り付けたままの男を無視して、女はポールを股間に挟んで押し付けたり、身体を捩って刺激したりと卑猥な行為に耽る。

「誰でも良いと言ったな??私には、そう聞こえたぞ・・・間違いないか??」
「ハァハァッ・・・そうよ、私を満足させてくれる男なの、貴男は??・・・但し条件があるの、この人に見られながら可愛がってくれる??」
紗耶香たちと同じルーレット台で目の前にカジノチップを積み上げた男が突然声を掛ける。
「これを見ろ。このチップの山こそが、今日の私が男の中の男であることの証明だ。その人に、真の男とはオレのような人間だという事を見せてやるよ」
男は金色のチップを一掴み帽子に入れる。
「結構よ、別室へ行きましょう・・・」
ルーレット台の男がバニーガールに託したチップを確かめた女は、下着を咥えたまま、フガフガと聞き取りにくい言葉を漏らす男のネクタイを引っ張ってステージの袖に消え、バカラ台の男も残ったチップをバニーガールに預けて別室に向かう。

思わぬ成り行きに紗耶香は、ハァハァッと息を荒げて三人が目指す方向に視線を向けたまま、新田に問いかける。
「これから、三人はどうするの??」
「どうするのかなぁ・・・しがないサラリーマンのオレには想像すら出来ない世界だよ」
「ふ~ン・・・帽子に入れたチップは金色でしょう。確か一枚が10万円だったよね??・・・100万円以上で買われるの??何をするの?・うぅうん、何をされるの??」
「さぁ、経験がないから解らないよ。でも、あの女性は何処にもいかないし、いなくなる事もない。次に来た時はバニーガールの格好で居るか、同じようにポールダンスをしているか、酷い事にはならないよ・・・他の女性も今まではそうだったからね」

ポールダンサーがルーレットで大勝ちした男に買われて別室に移動すると、淫靡な雰囲気が一変して元に戻る。
カタカタカタッ・・・ゴロゴロゴロッ・・・ルーレット盤が回転し、玉が投入される。
紗耶香は、これまでと同じように四つの数字の角にチップを置くコーナーベッドに賭ける。
ノーモアベット・・・ディーラーの声で賭けは終了し、カタカタカタッ、玉が示す数字に客は喜ぶ者、残念がる者、悲喜こもごもの景色が蘇る。
紗耶香のベットは外れ、一瞬、悔しそうな表情を浮かべたものの、
「終わりにする。エロい風景が頭から離れないの・・・こんな時は止めた方が良いような気がするの・・・良いでしょう??」

紗耶香の言葉に本物のギャンブラーの素質があるのかなと思う。
新田がそんな事を思った丁度その時、二人の背後で客とバニーガールのやり取りが聞こえてくる。
「水割りをもらえる??・・・それと、これで貴女を買えるかな??」
「ノーマルなら充分な金額です」
「結構、気に入ればオプションも要望に応えてくれるだろうね??」
「もちろんよ、参りましょうか・・・ご案内いたします」

堕ちる

カジノ-4

紗耶香は、新田や多くの客たちの表情に笑みが浮かぶことから、ダンサーと客の男のやりとりは、いつものなれ合いのように儀式じみた楽しみ方だと確信する。
「口で脱がせるだけじゃつまんないから、目隠しをしてあげようか・・・残ったストッキングも脱がせなさい」
ガーターベルトのクリップを口で外そうと足掻いても、ストッキングと腿を唾液で濡らすばかりで男の思い通りにならない。
見下ろす女は舌打ちをして、指を使いなさい、出来るでしょうと声を掛ける。
「はい、分かりました」
手首を縛られていても指先だけでガーターベルトのクリップを外し、太腿の感触を楽しむように頬を擦り付ける。
「そんな事をして良いと言ったの??ダメでしょう」
女の叱声を浴びた男は大きな身体をこれ以上はないほど縮こまらせて背中を丸める。雨の中に繋がれたままの犬のようにみすぼらしく、バカラ台で回りを睥睨するように賭けていた威厳は消え失せ、バーでゆったりと飲んでいた余裕も感じさせない


「紗耶香は知らないだろうけど、あの人は社名を言えばだれでも知っている優良企業の社長だよ。ここの客は、優良同族会社の幹部や医者、弁護士など身元がしっかりして金も自由になる人が多いんだよ」
「ふ~ん、なんか貫禄あるよね。スーツは勿論、ネクタイや靴も高級そうだし、あんな人がお客様になってくれると良いだろうな・・・あっ、ごめん。新田さんが一番大切なお客様だよ。ほんとだよ、信じて・・・」
「良いよ、気にしちゃいないさ。ギャンブル好きと、ほんの少し変わった女性への嗜好。両方満たしてくれる場所って中々ないし、秘密を守ってくれなきゃね・・・その点、ここは良いよ」
「賭けるだけじゃなくてショーやハプニングもある、ここが気に入ったな。ねぇ、私も会員になりたい・・・新田さんと一緒じゃなきゃ来ないけど会員になりたいの・・・だめ??」
「う~ん・・・今日はギャンブルの神さまに愛されたけど・・・どうしようかなぁ・・・紗耶香がオッパイ丸出しでポールダンスをするのを見るのは嫌だなぁ」
「絶対に一人じゃこないし、分を弁えて賭けるから・・・ねっ、いいでしょう??」
「分かった、推薦するよ。オレは出張もあるから、いつも紗耶香に付きあえないかもしれないけど、絶対に無茶するなよ。約束できるね??」
紗耶香の視線はステージに向いたままで、二人の痴態に興奮するのか瞬きも忘れたようにじっと見つめ、新田の言葉に何度も頷く。


男は脱がせたばかりのストッキングで目隠しされ、身体の前で縛られていた両手を背中で縛り直される。
結んだままのネクタイを掴んだ女は偉丈夫な男を意のままに操り、男は嫌がる風もなく引き回される事を楽しんでいるように見える。
「私のマンコを舐めたいの??それとも、汗まみれのマンコは他の男に任せた方が良いの??・・・答えなさい、黙ってちゃ分からないでしょう??」
「舐めさせてください。他の男に舐めさせるなんて、そんな意地悪を言わないでください」
「良いわよ、チップをたくさんもらったしね・・・舐めなさい。その前に、約束通り口だけを使って下着を脱がせてくれる??貴男ならできる、脱がせたいでしょう??」
ネクタイを引かれた男は四つん這い歩きで女の足元に近寄り、舌を伸ばして足の位置を探る。
舌は膝の辺りに行き当たり、そのまま腿を這い上がる。
「アンッ、くすぐったい・・・」

仕事では威厳に満ちた態度で部下に接しているはずの男が、脱いだばかりのストッキングで目隠しされて後ろ手に縛られ、乳房を露わに晒した女の前で跪き太腿に舌を這わせている。
顔の半分近くが隠れていても喜悦の表情は隠せない。
「アァッ~、美味しいです。もっと舐めてもよろしいですか・・・」
「ダメッ、貴男は私の言い付けを守れないの。ネクタイをポールに繋いで動けなくするよ。そして、私は他の男に身体を任せる、貴男は私の喘ぎ声を聴くだけ。それでもいいの??」
「ハァハァッ、そんな・・・そんな意地悪を口にしないでください」

ハァハァッ、ハフッハフッ・・・ネクタイを引っ張られた男は、ようやく下着に行きつき、喉を鳴らして腰に食い込んだ紐を口に含もうとする。
ゴクッ、ザワザワッ・・・しわぶき一つなく見守っていた客やバニーガールは、成り行きを期待して唾を飲み、隣り合った者同士で印象を語り合う。
社会的地位のある男が居合わせた人たちと秘密を共有しても、決して明らかにされる事はないと安心しているのを感じ取れる。
「ねぇ、脱がされた後、あの人はどうするの??このままじゃ終われないでしょう??」
「見ていれば分るさ・・・チェックの厳しさはカジノのためだけじゃないよ」

ようやく下着を咥えた男は、口を左右にずらしながらゆっくりと下ろしていく。
ウッウッ、フンフンッ・・・呻き声のような声を漏らしながら股間の割れ目が見えるほど引き下ろすと背後に回り、同じように紐を咥えてプリプリした尻の全容が見えるほど引き下げる。
再び股間の前に蹲り、下着を咥えて女の秘所が丸見えになるまで下ろしてしまう。
真っ白で割れ目を守るものが何もない股間が丸見えになる。
「ウフフッ、いやな人。下着を下ろしちゃうから、皆が私の恥ずかしいところを見てるじゃない。パイパンマンコが丸見えになっちゃった、貴男のせいよ・・・貴男には罰を与えなきゃ」
ネクタイをポールに結んで視覚と手の自由を奪っただけではなく、行動範囲もネクタイの長さだけになってしまう。
「ウッウッ・・・動けない」
男は嫌がる様子もなく顔を左右に振って音を聞き、匂いを嗅ぎ、女の気配を感じ取ろうとする。
下着から片足を抜き取り、反対の腿にぶら下げたまま男の手が届かない場所まで移動した女は腰をグラインドして客を挑発する。

堕ちる

カジノ-3

「どうなの??」
「見ての通りだよ」
視線で紗耶香の手元に積み上げたチップを示した新田は苦い表情になる。
「情が移ったの??」
「いや、今日を含めて二度ほど勝たせた後は予定通り・・・ギャンブルに興味があるしセックスも好き、恐らく想像以上の稼ぎになるだろうから本人も不幸と思ったりしないさ。その後は本人次第さ・・・残るもよし、去るもよし・・・」
「そうなの??私のように残りたいと言ったらどうするの??・・・ウフフッ、困った表情のあなたは魅力的・・・そうだ、岩津さんが、あの娘を見て言ってたよ。あなたの選ぶ女性は間違いがない。性格などから揉め事を起こさない女を選んでくるから、オレたちの仕事も楽だって」

紗耶香は賭け金を上げた後もコーナー2か所にベットする方法で勝ちと負けを繰り返す。
1から36までと0、00を加えた38の数字の内、紗耶香がベットする数字は8個。計算上の確率は21%のところ、三回の内一回は勝っているので、着実にチップは増えていった。勝っていると言うより勝たせてもらっていると言う方が正確だが、紗耶香はそれを知らない。

周囲の人達に気付かれないように粘っこく親しみのこもった視線を絡ませた瑞樹は受付に戻っていき、ジントニックを飲み干した新田は紗耶香の背後に立つ。
「言った通りだったね。紗耶香はギャンブルの神さまに愛されているようだ」
「ウフフッ・・・私はギャンブルの神さまよりも新田さんに愛されたい」

突然、中央奥のステージをスポットライトが照らし、大の日本贔屓で知られるケイシー・バタグリアのボディショットが流れる。
真っ赤なホルターネックドレスに身体を包んだ女が現れ、テンポの良い曲に合わせて踊る。
ドレスは下着をかろうじて隠すミニ丈で、バックシームが脚線美を際立たせるストッキングと相まってスタイルの良さが強調され、男性客だけではなく女性客の視線もステージに釘付けになる。
「カッコいい・・・ねぇ、あの人も元は客だったの??」
新田の脇腹をつついた紗耶香はステージに視線を向けたまま問いかける。
「どうだったかな??そうだったような、違うような。あの人は分らないな・・・」
とぼける新田の言葉に関係なく、女はポールを握って激しく身体をくねらせ、突然の出来事にも客たちは驚く様子もなくチップを握ったままステージを見つめる。
ステージの先端まで出てきた女はバーカウンターで水割りを飲んでいた男を手招きし、その手に持ったグラスの水割りを一口飲んで、ホルターネックを解くように唇と視線の動きで催促する。
男はゴクリと唾を飲んで指示に従い、女は男の肩に手を置いて器用にミニドレスを脱ぎ捨て、それをエプロンのように男の首にかける。
ばつの悪そうな、それでいて嬉しそうな表情の男はバーカウンターに戻り、胸にぶら下がるドレスに顔を埋めて匂いを吸い込む。

ドレスを脱いだ女の乳房をオープンブラが強調し、股間は赤いGストリングが守り、ストッキングを吊るガーターベルトとストッキングの間の太腿はムッチリとして男たちの情欲をそそる。
ステージの中央に立つ透明のポールはライトを反射してキラキラ輝き、ポールの芯にLEDライトが付いているので一層きらびやかな雰囲気をつくる。
曲はイタリア映画“女王蜂”のテーマに替わり、スローテンポの扇情的な曲に合わせて官能的なポールダンスが始まると、紗耶香や新田だけではなくルーレット台を囲むすべての客はステージに見入り、それはバカラ台でも同様な景色をつくる。

男たちの股間をくすぐる官能的なポールダンスが終わると、ステージ近くの男たちはダンサーが用意した防止にカジノチップや現金を投げ入れ、遠くにいる者はバニーガールの持つ帽子に投入する。男性客だけではなくダンスに感動した女性客も同様で、息を飲んでポールダンスを見ていた紗耶香も、客の間を歩き回るバニーガールの持つ帽子に凡そ2万円分のチップを、素晴らしかったと伝えてと言う言葉と共に投入する。
足元とバニーガールが持ち寄った帽子の中身に気を良くしたダンサーは、バーカウンターで酒を飲む偉丈夫な男に視線を向けて手招きする。

ダンサーは呼び寄せた男の肩に置いた手に力を込めて、その場にしゃがみ込ませる。
一言も言葉を発することなく、男にストッキングを脱がすように視線で伝えて足を差し出す。
男は突き出された足を膝立ちにした腿に載せ、頬ずりせんばかりに丁寧且つ優しく脱がせてダンサーに手渡す。
しゃがんだままの男の両手を掴んで、受け取ったストッキングで縛ってしまう。
男は悦びで頬を染め、唯々諾々と縛られるのを見つめる。
「ウフフッ、可愛い男・・・バカラは今日も勝ったの??」
「はい、貴女のお蔭で今日も勝たせていただきました」
「そう、良かったね。おめでとう・・・じゃぁ、いつものようにご褒美を上げなきゃね・・・脱がせて良いわよ。いつもと違って手は使わずに、口だけを使うのよ・・・出来る??」
「はい、出来ます・・・その前に、私のチップを受け取ってください」
「チップをくれるの??・・・ご褒美をもっと上げなきゃいけないね」


堕ちる

カジノ-2

「では、紗耶香の腕前を見せてもらおうか」
レストランを出た二人は、何の変哲もない扉の前に立つ正装の男に姓を名乗る。
男は壁の一部をスライドさせてオートロックを解錠するための指紋認証式のシステムに指をセットする。
音もなくスライド式のドアは開き、男は二人を手で誘導する。
ドアの先は小さな小部屋になっており、天井には監視カメラが付いている。
「何か、すごい。秘密の場所って感じがありあり。歓迎されざる人間は、この小部屋で天井から出る毒ガスでやっつけられてしまいそうな雰囲気があるよ」
「シィッ~、マイクがセットされているかも分かんないよ」

「いらっしゃいませ、新田さま。ご婦人の言葉は聞かなかったことにしますから安心してください」
「えっ??あっ・・・ごめんなさい。冗談のつもりだったのですが、本当にごめんなさい」
「ウフフッ、私の方こそゴメンナサイ、脅すつもりはありませんよ。扉を開けます・・・どうぞ中へ」
二つ目のドアを入って直ぐの受付カウンターには沙也加でさえ、ハッとするほど美しい女性が微笑みと共に迎えてくれる。
「お久しぶりです、新田さま。今日は珍しく美しい女性をご同伴ですね・・・紹介してくれないの??」
馴れ馴れしい言葉遣いに違和感を抱く事もなく、部屋の様子が気になる紗耶香は耳をカウンターの女性に、視線は奥に走らせる。
「この人は紗耶香さん・・・受付のこちらは」
「瑞樹と申します。紗耶香さん、今日は非日常の世界をお楽しみください」
瑞樹と名乗る女は、紗耶香を値踏みするように素早く全身に視線を走らせ、
「ルールなどのご説明をいたしますか??」
「いや、いいよ。私が説明するから・・・」
「分りました。それでは、お楽しみください。紗耶香さんに幸運が宿りますように・・・」
気が逸る紗耶香が先に立って一歩踏み出した瞬間をとらえて、瑞樹の手が新田に重ねられたのを気付かない。

豪華なシャンデリアが眩いばかりに光り輝き、床は真っ赤な絨毯が敷かれている。
テーブルと客の間を縫うように歩くバニーガールがいる。
客だった女性がある日からバニーガールになっていると言った新田の言葉が思い出される。
乳房と股間はかろうじて隠れているものの男性客の欲情をそそる事は間違いない。但し、それは平常なら、という事で賭けに興じている男たちはアルコールを受け取る以外は興味を示そうともしない。
正面の奥にステージがあり、中央にポールが立っている事からポールダンスを見せる事があるのかもしれない。

紗耶香の表情に不安と興奮が宿った事を見て取った新田は顔を近付けて話しかける。
「スロットマシンは無く、メインはルーレットとバカラ、客が希望すればポーカーやブラックジャックもやれるし、クラップスなどダイスを使うのも受けてくれるし丁半など和式の博打もやれるよ。高額の場合は別室を用意されるらしいけど、オレは経験がないから解らない」
「じゃぁ、経験がないけどルーレットをやりたい。しばらく見るだけでも良いんでしょう??」
「良いよ、紗耶香はカジノに向いているかもしれないね。早く賭けたいって言うのかと思ったら、様子を見る冷静さがある。自分を見失う事がないのは素質充分だよ。ギャンブルの神さまは、そういう人を愛すると思うよ」
30万円をチップに交換した新田は半分を紗耶香に渡す。

アメリカンスタイルだと言うルーレット台で賭け方を含むルールを教わりながら見ていた紗耶香は、コーナーベットと言う4つの数字に賭け、当たれば9倍の配当になる方法を選びそれを2か所ベットする。
5000円のチップを2か所にベットした紗耶香は、ディーラーの「ノーモアベット」と言う言葉を聞くと、瞬きもせずに見つめ、ディーラーが「11黒」と宣言すると、10・11・13・14のコーナーに賭けていた紗耶香は、
「当たったの??当たったよね??」と上気した表情で新田に問いかける。
「あぁ、当たった。5000円を2か所、1万円賭けて配当が45000円。言った通り紗耶香は素質があるんだな。おめでとう」
外れた新田は、我が事のように喜び満面の笑みで紗耶香を見つめる。

掛け金を二倍にした紗耶香はコーナーベットを繰り返して着実に勝ちを積み上げていく。
いつしか、ベットする金額は3万円になり、そばにいる新田の存在を忘れたようにルーレットにのめり込んでいく。
紗耶香から視線を外さないようにしながらバーカウンターに移動し、ジントニックを口にしていると受付にいたはずの瑞樹がさり気なく近づいてくる。

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カジノ-1

「これで良い??フォーマルでなくていいけど、崩し過ぎないって言われても良く分からない。友達の結婚式に着たワンピースで良いかなと思って・・・」
「うん、好いよ。今日は、店で見るより好い女だよ・・・ベーシックなデザインでブルーが良いね、紗耶香をクールな好い女に見せる。似合っているよ・・・キスしても良い??」
「ウフフッ・・・新田さんは私を気持ち良くしてくれる名人。ウフフッ、キスして・・・」
背中に手を回して軽く抱き寄せ、唇を合わせる。
可愛いよと言葉を掛けた新田は助手席のドアを開ける。

「表向きは会員制のレストランになっているから会員同伴でないと入れないんだ。ビジターも希望すれば同伴会員の推薦と資格検査が済めば入会できるけどね」
「ふ~ン・・・面白かったらだけど、入会したくなったら推薦してくれる??」
「それは構わないけど、怖いらしいよ」
怖いよと言う言葉を強調した新田は、特に紗耶香のように好い女はカジノ側にとっても色々メリットがあるらしいから注意した方が好いよ、と白々しい言葉を掛ける。
「ふ~ん・・・負けた女は借金を背負わされて太客のセックス奴隷にされるとか??クククッ、まさかね??」
「いや、客だったはずの女性が、ある日からバニースタイルで接客するとか、オレには縁がないけど客の男と特別室に入っていくのを見た事もあるしね」
「特別室って??・・・まさか、アレのための部屋なの??」
「分からない、オレなんかショボイ客だから縁のない部屋だからね。想像できないような高額でやってるのか、酒池肉林の部屋なのか・・・紗耶香が望むなら推薦するけど注意しろよ」
「うん・・・・・」
会員になりたいと言うのは分かっている。そして、近い将来に借金を背負いこんで短期間とは言え、言うがまま働かされる。その選択をしたのは新田のせいではなく、全て自分の招いた事だと諦めるための言質を取っておく新田の狡猾な話である。
不安を隠そうともせずに寡黙になった紗耶香を乗せた車は、二階建ての豪壮な建物を正面に見ながら走る。
ケータイを手にした新田は、
「新田です。ビジターを独り同伴しています」と告げて、鉄扉の前で停車する。

洒落たプレートに会員制の表示とレストラン名を見ることが出来る。
石塀に囲まれた敷地の奥に建物の屋根らしいものが見えるが、木々が遮り全容を見る事は出来ない。
紗耶香が美しくも頑丈なロートアイアンに見入っていると、そこに取り付けられた監視カメラが微妙に動いているのが見える。
「同伴者を確認し、周囲に別の車がいないかなどを確認しているんだと思うよ」
音もなく扉が開き敷地内に車が入る。
玄関前で車を停めると、ドアマンが音もなく近寄り建物の中へ案内してくれる。

「新田さま、お待ちいたしておりました。お席の用意をいたしますのでウェイティングバーでお待ちください」
タキシード姿で蝶ネクタイとカマーバンドが良く似合う男に案内された二人は、キールロワイヤルを食前酒に選ぶ。
「美味しい。飲みやすいし色も赤がきれい」
フルートグラスの中で静かに立ち昇る泡が爽やかな飲み心地となって、不安もあって寡黙になっていた紗耶香に元気が戻る。
「ブルーのドレスにカクテルの赤い色が映える。フルートグラスも小粋で紗耶香を一層エレガントに見せる・・・このままホテルに行きたい気分だよ」
「ウフフッ、本当??嬉しい・・・食事を終えたら・・・なの??」
カクテルのせいとは思えないものの、頬を僅かに朱に染めた紗耶香はカジノに思いを馳せ、あちこち見回す。
「クククッ、見えないよ。闇とは言え紳士淑女の社交場。先ずは食前酒で食欲を増進させて、食事を楽しむ。食欲を満たした後は冒険してみたくなる」
「冒険とかスピード感って女の性欲を昂進させるんだよね・・・興奮スイッチと性欲スイッチは直ぐそばにあるの」

「お席の用意が出来ました。ご案内いたします」
新田の好みでワインは良質の白だけをオーダーし、紗耶香もあえて赤はオーダーしない事にする。
「新田さんて普段は我を張らないのに、絶対に譲らないこだわりがあるよね。そこに惹かれたんだけど・・・」
アバンアミューズに始まりスープや前菜のエビマリネ、魚料理のヒラメも美味しく紗耶香の頭からカジノは姿を消し、肉料理が運ばれる頃には料理に感嘆する言葉しか出なくなる。
お腹がいっぱいになったと言う紗耶香に合わせてデザートは断り、エスプレッソを頼む。
「幸せ、このままホテルの最上階に連れて行かれたら何でも言う事を聞いちゃいそう・・・」
「好いよ、そうしようか??・・・スイートルームを頼もうか」
「イヤンッ、だめ・・・今日の目的は・・・でしょう??」
笑みを浮かべながらも怒った表情で抗議する紗耶香が何とも可愛い。