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彩―隠し事

会員制クラブ  

「鍬田君のアイデアで設計変更したから受注できたよ。ご苦労さんだったね・・・それにしても見積価格を上げて機能追加、よく考えたなぁ」
「会話の中で見積りへの反応よりも性能への関心が高いと思ったので進言しただけで偶然です」
「謙遜するところが鍬田君らしいな。出世欲をギラギラさせる男も若い頃の私を見るようで嫌いじゃないが、鍬田君の奥ゆかしさも好きだな。欲のないのが女性だからと言う理由なら残念だけど」

ご主人に申し訳ないから、あえて祝杯のために誘うのは止めとくけど本当にありがとうと言ってくれた課長の言葉を思い出すと苦笑いが浮かぶ。
ご主人かぁ・・・私たちほど幸せな夫婦が他にいるだろうかと最後に思ったのはいつだっただろう。
あの日を最後に夫と呼ぶ人を信じられなくなった。


先に帰宅した私が夕食の準備も終わる頃に帰ってきた夫がテーブルに並ぶ料理を見て、
「ワインが欲しいな、日曜日に飲み干しちゃったろ。買ってくるよ」
放り投げたバッグからこぼれそうになった書類を戻そうとしたとき、それを見つけてしまった。
<<土曜日、いつものところで待っています。奥さんよりも10倍、愛しています>>
目の前が真っ白になるという表現が実際にあると、その時はじめて知った。
内心の動揺を隠してワインを味わう余裕もなく時間の経過の遅いのを呪いながら食事を終えた私は、今日は体調が悪いから別室で寝ると告げた。
顔色が悪く如何にも体調が悪く見えるようで私の言葉に疑念を抱くことのない夫は後片付けをしてくれて、いつもの優しさを見せてくれたものの、それまでのことも全て嘘に思えて許すことが出来なかった。

翌日は真っすぐ帰宅する気にもならず、同僚を誘っていかがわしさの漂う盛り場へ向かった。
「ねぇ、優子は浮気したことある??」
「急にどうしたの、あるわけないよ」
友人の問いかけに夫の不倫を知って憤然と答えたのが懐かしい。
「私は一度だけ・・・一度って相手が一人っていう意味だけどね」
「長い間だったの??」
「半年くらいかなぁ。遊び慣れている人で、夫とは行くことのないような所に連れて行ってくれたし、セックスも考えたこともない場所や方法でしたけど、そんなことに慣れていく自分が怖くて別れたの・・・その彼が連れて行ってくれた店の一つが近くにあるの、行ってみようか」

会員制と書かれたドアが中から開き、友人の背後に隠れるようにして恐る恐る二重扉の中に入ると照明が暗いうえに衝立や植木が邪魔になって店内の様子がはっきりと見えない。
ピシッ・・・ヒィッ~、痛いっ・・・俯いちゃだめだ、お客様に可愛い顔をよく見てもらいなさい・・・ウグッ、グゥッ~・・・
悲鳴の聞こえた方向に向かって目を細めるとスッポトライトに照らされた下着姿の女性が壁に鎖で繋がれて鞭で打たれている。
予期せぬことに驚いて身体は動かず、呆けたように立ち尽くしていると友人が、
「何してるの??こっちだよ」
雲の上を歩いているようなフワフワした感じで案内された席に着き、ようやく照明に慣れた目を彼方此方巡らすと、中央には得体のしれない椅子が鎮座して壁には鞭や縄が下がり十字架まで設えられ、客は男性が圧倒的に多く女性客は男性に連れられたカップルがほとんどだが優子たちのように女性連れがもう一組いる。

再び鞭打たれていた女性に視線を向けると真っ赤なローソクを見せつけられて、ハァハァッと息を荒げている。
優子・・・優子・・・えっ、なに??・・・どうしたの、ボーッとしてと言う友人の声で我に返る。

下着を外すことなく万歳の格好で拘束されて鞭打たれ、蝋を垂らされて身体を赤い模様で覆ったところで拍手と共にショーは終わった。
しばらくすると男性一人と思っていた隣の席に女性が一人案内されてきた。
「どうだった、昂奮しただろう??声が裏返って目が逝っちゃってるように見えたぞ。濡れてるか??」
「イヤンッ、恥ずかしいから触んないで・・・すごいよ、昂奮する。知らない人に見られながら鞭打たれるんだよ。もっと打って、どうにでもしてって言いたくなるのを我慢するのが大変だった」
「そうか、よかったな」
「今夜は寝かせないよ。生殺し状態なんだからね。鞭打つ人の股間が膨れてくるのを見るとドキドキして、入れて、ぶっといオチンポで啼かせてって叫びそうになったんだから」

友人の話ではAV女優さんや飛び入りのお客さん、前もって予約したお客さんを相手に縛りなどSMショーが連日あるらしい。
初めて現実に見るSMショー、ボンテージ衣装や妖艶なランジェリー姿のホステスさんの話も興味深く、足早に通り過ぎる時間を恨めしく思いながら帰路に就いた。

普段の私を知る人は清楚で貞淑な奥様と言ってくれる。
仕事をする私を知る人は今日の課長のように過分すぎるくらいに評価してくれる。
夫さえ気付いていない本当の私は胸の内にドロドロした性的な欲求を抱えている女で、遠い記憶の中に初めてそれを意識した瞬間がある。
そんな事を考えながら今日の仕事のご褒美を自分に与えようと、友人に連れられて過去に一度だけ行ったことのある会員制の店に足を向ける。
あの日、帰る私に行ってくれた言葉が蘇る。
「次回はお客様が会員となってビジターのお客様と同伴でも、あるいはお一人でもお迎えいたします。秘密保持のためにあえて会員カードは発行しておりません。会員様のお顔は決して忘れることがございませんが、仮名で結構ですからお名前をお聞かせください」
仮名でも良いという事なので、鍬田優子と本名は名乗らず“彩”と覚えてくださいと伝えた。

優子は会員制クラブの重い扉の前に立って監視カメラを真っすぐ見つめる。


                                                <<< 続く >>>

彩―隠し事

性癖  

人見知りする質で自分から能動的に動くことは少ないけれど何かの拍子でスイッチが入ると自分でも驚くほどの行動力を見せることがあり、仕事ぶりを課長に褒められた今日はそのスイッチが入った。

「いらっしゃいませ、彩さん。今日はお一人ですか??」
「はい。次回は私一人でも会員として迎えて頂けると聞いたので来ました」
「ありがとうございます。どうぞ、お入りください・・・この者がご案内いたします」
彩と仮名で登録した優子がドアの前に立つと待たされることなく、カマーバンドと蝶ネクタイを着けた黒タキシード姿の男が招き入れてくれた。
脇から裾までメッシュになったレザーのミニドレス姿で背中の中ほどまでの黒髪と切れ長の目が印象的な女性に案内された席に着く。

友人に連れられて初めて来た時よりも落ち着いているものの店内の様子や内装が気になり、彼方此方見回すのを邪魔することなく優子を値踏みするようなホステスさんの視線が熱い。
フルートグラスに注がれたキールロワイヤルが届くと、
「乾杯しようか・・・お姉さんは私のタイプ。あっ、私はカヲル。好物は可愛い女性」
えっ・・・予期せぬ成り行きで一瞬、頭の中は真っ白になり手に持ったフルートグラスをテーブルに戻す。
「脅かしちゃった??ごめんね。お客様に合わせてMにもSにもなるけど、お姉さんはMでしょう??そんな匂いがする」
「そんな事を・・・突然、言われても・・・ハァハァッ・・・」
不快と思わないものの秘めた思いを見透かされたようで息をするのが苦しくなり、自然と息が荒くなって口が開いてしまう。
「隣に座ってもいい??」
優子の返事も聞かずに身体を寄せて左手で太腿をサワサワと撫で、ミニワンピがずり上がって黒い下着がチラチラ見えても気にする様子もない。
乾杯しようよ・・・フルートグラスを持つ手は震え、カヲルの言葉に抗うことも出来ずに催眠術にかかったかのように意のまま操られる。

可愛い・・・微笑と共に一言囁き、優子の持つフルートグラスを引き寄せてキールロワイヤルを口に含み、何も言わずに唇を重ねて流し込む。
ゴクッ・・・それほどアルコール度数が高いはずもないのに喉を通過すると火傷しそうなほど熱く身体が燃える。
いやっ・・・重ねられたままの唇が優子の嚥下したことを確かめると妖しく蠢き始め、同性の柔らかい唇と舌の動きに翻弄されて全身がカァッ~と熱くなる。
ウグッ、アンッアウッ・・・舌を吸われてなすすべなくカヲルの技巧に喘ぎ声を漏らすと乳房を揉まれて全身の力が抜けていく。
「ウフフッ、感度がいいね・・・ねぇ、名前を聞いてもいい??」
「えっ、そうね・・・彩。彩と呼んで」
「彩。名前も可愛いね・・・彩りのアヤでしょう??・・・華やかに変化するって意味もあるよね。清楚で上品な彩が奔放で淫らな女に変化する。名は体を表す・・・彩、いい名前だよ」
「いや、初めて会ったカヲルさんにそんな事を言われるのは恥ずかしい」
「恥ずかしい・・・そうね。でも、気持ちに正直にならないと彩の求める世界に入ることはできないよ」

「ヒィッ~、いやぁ~ン、そんな事をされたら狂ってしまう・・・逝く、逝っちゃう、いいの、ダメェ~」
カヲルの行為に驚くばかりでSMショーを見る余裕もなかった彩は女性の悦びの声でステージに視線を向ける。
ショーツ1枚だけ残して乳房を剥き出しの女性が後ろ手に縛られて縄尻を天井から下がる鎖に繋がれ、男性と女性の二人にバイブ責めされている。
豊満な乳房は上下を這う縄が大きさを強調し、左右の乳首はクリップが挟んで錘が垂れ下がっている。
女は手に持つバイブで執拗に股間を責め、男は縛られた女を所かまわずバイブを這わせて思うさま嬲る。
二人に責められる快感で身悶えると乳房の先端からぶら下がる錘が揺れて苦痛に変わり、顔を歪めるのがなんとも艶っぽい。

「本当に逝っちゃいそうだね。足指や手の指の動きを見てごらん。快感を隠しきれないよね、唇を噛んで切ない表情で堪えているでしょう??あんなエロっぽい表情を見ると苛めたくなっちゃう・・・彩を啼かせてみたい」
カヲルの指が首筋から耳の裏を撫で、顔を近付けて息を吹きかけながら囁く。
ヒィッ~・・・どうしたの??・・・私を啼かせたいなんて急に言うんだもん。
暗くて分かりにくいものの彩の顔は朱に染まり、動悸が激しくなって息をするのが辛い。

ヒィッ~、逝く、ダメダメッ、クゥッ~、逝っちゃウゥッ~・・・ひと際長く尾を引く喘ぎ声と共にがっくりと頭を垂れた女は鎖に繋がる縄に体重を預けてぐったりとなる。
縛られたままの女を労わるように抱きかかえた男は鎖から降ろして髪を撫でて何か話しかけている。
「あの二人はご夫婦なの。来るといつもご主人と女王様の二人で奥様を責めてあげるんだよ。私も参加したことがあるけど、見ず知らずの他人の前でご主人に責めてもらう時間に幸せを感じるんだって・・・」

ハァハァッ・・・ゴクッ・・・後ろ手に縛られたまま、男の腕の中でぐったりする女から視線を外すことも出来ずに唾を飲む彩にカヲルは声をかける。
「彩、どうしたの、大丈夫??苦しそうね・・・上着を脱ごうか、楽になるよ」
仕事帰りでパンツスーツ姿の彩に声をかけ、上着を脱がせてパンツまで脱がそうとする。
ステージを見つめたまま、意思を無くしたかのようにカヲルの行為に異を唱えることもできず、スーツの上下を脱がされて唇を奪われる。
それで終わるはずもなくキスをしたまま乳房を揉まれてブラウスのボタンを外され、気が付くと下着姿にされてしまった。
「えっ、いや。こんなところで、恥ずかしい」
「大丈夫よ、まわりを見てごらん。この席は衝立や壁で見えないようになっているでしょう??・・・私に任せなさい。本当の彩の姿を見せてあげる。独りで来た理由があるんでしょう??正直になりなさい」
淫靡な欲求を湛えた瞳でカヲルを見つめる彩は操られたようにコクンと頷いてしまう。

「行くわよ。みんなに見られながら縛ってあげる」
「ハァハァッ~、顔を隠してくれる??全てを見られるのは恥ずかしいの」
「大丈夫、私を信じなさい。誰にもばれないようにしてあげる・・・」

彩―隠し事

秘めた想い

下着姿で衆目にさらされ、戸籍上のご主人と女王様の二人に責められて身悶える女性を見ている優子は、遠い昔から心の奥に秘めていた淫靡な思いが育ち始めるのを感じる。
カヲルはそんな優子の心の奥を見透かしたようにキスをしながら乳房を揉みしだき、逃げ場のない悦楽が支配する世界に追い込んでいく。
カヲルの誘いに易々と応じて席を立ち、導かれるまま縛られる準備をするためにバックヤードに向かう。

夫が浮気をしたから私はここにいる。
ここにいる私は優子ではなく彩。
悪いのは私ではなく夫、優子ではない彩が秘めた想いを叶えてくれるかもしれないと思うと全身の血が騒めき始める。
優子と彩の身体は同じ、彩の感じる快感が私である優子を満足させてくれることを期待して女の部分が熱を持ち、疼きが身体だけではなく心も刺激して昂奮が止まらない。

案内されたバックヤードはホステスたちのロッカーが並び、香水など表現するのも難しいほど艶めかしく色っぽい匂いが漂う。
「すぐに戻るから待っていて」と、言い置いたカヲルは彩を残して部屋を出る。
一人になって遠慮なく部屋を見回すとバイブや脱ぎ捨てられた下着が転がっていたりと性的な解放感が溢れていて、心臓が破裂しそうなほど昂奮している自分が馬鹿々々しく思える。
言葉通り、すぐに戻ってきたカヲルは持ってきた紙袋をテーブルに置き、
「ステージの準備はもうすぐできる。時間が経つと怖くなるから直ぐにやっちゃおうよ・・・汚れたり裂けたりすると困るからスッポンポンになって袋の中のモノに着替えてくれる・・・着替えながら聞いてね・・・」
カヲルの説明は、店のルールとして責める側と責められる人との事前の約束厳守。ブラジャーは外してもいいけど、たとえ誰であれ股間は見せない。下着の上から指や道具で愛撫するのは可能。鞭やローソク、オモチャ責めは前もって取り決めを行う・・・説明を終えたカヲルは彩の意思を確認して希望を確かめ、このウィッグとアイマスクを着ければ出来上がりと彩の退路を断ってしまう。

見ず知らずの人たちの前で縛られて羞恥責めされる姿を想像すると身体の火照りを止められない。
前開きのワンピースとブラジャー、ショーツが彩の身体を守り、前を歩くカヲルの背中が夫の浮気相手に重なって見える。
「彩、緊張するなって言ってもダメだから、あえて言わない。深呼吸して・・・」

「今日、二人目のショーを始めます。小柄ですが要所要所に程よくムッチリ感があり如何にも縄が似合う白い肌が自慢の女性です・・・」

カヲルに背中を押されてステージに向かう彩の息は荒くなり、一歩一歩進んでいるものの両足はフワフワとして自分のものとは思えない。
真っ暗な客席は目を細めても何も見えず、カヲルに此処でいいよと言われて立ち止まると両足の震えが止まらずに崩れ落ちそうになる。
「あらあら、どうしたの??嬉しくて足の震えが止まらないの??スケベな女だねぇ・・・落ち着くように縛ってあげようか」
縄を手にしたカヲルは客席に背を向けて彩の正面に立ち、二人だけが分かるように小声で話しかける。
「マスクとウィッグで誰だか分からないから安心して。ドキドキしてるんでしょう??目を閉じて深呼吸してごらん」
話しかけながら両手首を縛り、再び彩の背後に戻ったカヲルはワンピース越しに乳房を揉み、ウッと驚きの声を漏らすと身体のラインを確かめるように手の平が全身を撫でる。
「お客様は、このスケベな身体を見たいと思っている。私は見せてやりたいと思っている、あなたは見られたいと思っている・・・そうでしょう??」

彩がコクンと頷くと客はゴクッと唾を飲み、ザワザワしていた店内が一瞬の静寂に包まれる。
背中越しの手がワンピースのボタンを一つまた一つと外すと手首を縛られた両手で胸を隠そうとする。
「フフフッ、手首を縛られただけじゃ満足できないんだね。罰を与えてくださいって言う催促だよね」
先ほどまで二人の男女に責められていた女性が吊られていたフックに手首を吊り上げられると満足と期待で店内が騒めき、彩が思う以上にその身体は客たちの性的好奇心を刺激する。

二つ外されたワンピースのボタンは新たに一つ外され、ブラジャーと白い肌の一部が露わになる。
ヒッ、ヒィッ~・・・縛られた両手を吊り上げられていては胸を隠すことも叶わず、客席に背中を向けて胸を隠そうとするとワンピースの裾を捲り上げられる。
ヒィッ、いやぁ~ン・・・オゥッ~・・・ワンピースの防備を無くしてTバックショーツが存在を誇らしげに示す美しい尻とムッチリとした太腿が露わになると歓声が上がる。

客席のどよめきに背を向ける彩はカヲルに正対して無防備になり、あっと思う間もなくすべてのボタンを外される。
覚悟していたこととはいえ見ず知らずの人たちが暗闇の向こうで好色な瞳を見開いていると思うと、渦巻く全身の血がドクドクと音を立てて逆巻き、立っているのさえ苦しくなる。
カヲルはワンピースを開き切り、
「皆さんにエロイ身体を見てもらおうね。自慢の身体をワンピースで隠すのは勿体ない・・・さぁ、見てもらうのよ、嬉しいでしょう」
「ハァハァッ・・・いや、はずかしい・・・」
嫌という声は裏返り、彩自身も本当に嫌なのか、それとも見られたいと思っているのか自分の気持ちが分からない。
ボタンをすべて外したワンピースを背中でまとめたカヲルは、彩の身体を客席に向ける。

彩―隠し事

羞恥心

会員制SMクラブで彩と仮名で登録した優子は、意識しないまま心の奥に封じ込めていた積年の思いを満たそうとしている。
両手首を縛られて吊り上げられた格好で前開きワンピースのボタンをすべて外され、暗い客席に向かって下着姿を晒す。
人の動く気配さえ見えなかった客席も自分を照らすスポットライトに慣れると、人影が動いているのがわずかながら感じられるようになる。
下着を着けたままとはいえ結婚後、男性と言えば夫にしか見せたことのない肌を見ず知らずの人たちに見られていると思うと喉が渇き、全身をドクドク流れる血液の熱ささえも感じられて意識が遠のくような羞恥心に襲われる。

おぼろげだった想い出が消せない記憶となってありありと蘇る。
あれは高校生だった夏のある日の事、クラブ活動を終えて帰宅後、二階の自室で制服から私服に着替えようと下着姿で汗をぬぐっていると隣家の二階のカーテンが不自然に揺れていた。
優子の一歳下で小学校低学年までは一緒に遊び宿題もしていた男子がカーテンに隠れるようにして覗いているようだった。
女子高だったせいもあり、男子に対する注意が足りなかったと後で思うこともあったが、その時は覗き見されているという事にゾクゾクするような気持ちよさを感じて隠れようという気はまるで浮かばなかったような記憶がある。
一緒に遊んでいた頃は彼が年下という事もあって、何かとお姉さん風を吹かせていた記憶があるが、そんなことも影響していたかもしれない。
女子高の猥談やセックスに関する話は後で思うと、えげつないほどあけすけなもので、そんな経験が普段はおとなしい優子を大胆にして、その夏は何度か着替えをわざと覗かれるようなことをして年下の彼をからかってみた。
やがて秋になると窓を開け放ったまま着替えをすることもなくなり、覗き見されてゾクゾクした思いは心の奥深くに隠していた。
オナニーで得る快感や、そのころ付き合っていた彼とのセックスの快感とは違う心の奥にある性感帯を刺激されるような気持ちよさに背徳感があり、意識して記憶を封印したのかもしれない。
覗き見をした彼と偶然、通りで会っても優子は気付かぬ振りで普段と同じ挨拶をし、彼は悪い事をしたという思いがあるのかよそよそしい態度になったのがおかしかった。
最近、女性週刊誌や女性主催のブログ、友人との話などで露出癖や恥ずかしい姿を見られると昂奮する女性がいると聞いて何かモヤモヤする懐かしさを感じていたが、今、その正体を理解して自分にも棲みついていたのだとはっきり自覚する。

そんな回想はカヲルの声で現実に引き戻される。
「うっとりした表情だけど、見ず知らずの人に恥ずかしい姿を見られて昂奮する女性なんだよね・・・これじゃぁ物足りないでしょう。オッパイも見てもらいたいでしょう」
いうが早いかカヲルはブラジャーのホックを外してたっぷりとした乳房を剥き出しにする。
「ウッ、いやぁ~ン・・・恥ずかしい」
ブラジャーをだらしなくぶら下げて客席に顔を向けまいとして俯くさまが色っぽく、男女を問わず乳白色に輝く膨らみを凝視する。
そんな反応に満足するカヲルは、
「お客様は、このオッパイに満足したようよ。せっかく丸出しにしたんだから縄化粧をしてみようか、きっちり縛ってあげる」
「あぁ~ン、やめて・・・縛られたくなんかない。オッパイを見られるだけでも恥ずかしいのに、そんな事を言わないで」
ここまでは二人で話し合った手順通りで乳房の上下を縛られた後は、SMショーを目の当たりにした経験がないので優子ならぬ彩の反応を見ながらカヲルに任せる事になっている。
吊り上げられた両手の戒めを解かれると同時にワンピースとブラジャーを剥がされてTバックショーツ姿で後ろ手に縛られ、乳房の上下を縄が這い股縄を通される。
ギシギシッ・・・縄がこすれ合う音が心地いい。
両手は決して動かしようがないほどきつく縛られているのに痛いと感じることがなく、身動きできない事に精神的な自由を感じ始める自分がいる。

後ろ手に縛った縄尻を再び天井から下がるフックに止められ、手の自由を制御される。
「ここにいる人たちはすべて、この身体を見ているんだよ。昂奮させてあげなさい」
カヲルの手が彩の身体を這い、客席で息を凝らす人たちに魅力を再確認させる。
「シャギーを入れた髪は知的な雰囲気によく似合う。この肩は、そうね、水泳でもしているのかな・・・淑やかさだけが魅力ではなくアクティブな雰囲気も作る、素晴らしいわ。オッパイ、Eはありそうね、全体の雰囲気に似合っているから大きすぎず、小さすぎずでバランスがいい。鍛えた身体は油断すると、ついついって様子が感じられるけどウェストの括れから腰に至るラインを見ると節制しているのが判る。このあたりのムッチリ感は男好きしそうだね、抱きたくなるような魅力があると思う・・・女の私も触れると吸いこまれそうな、この身体に涎が出そうになる」

ピシッ・・・ヒィッ~、痛い・・・ヒィッ~、ざわざわっ・・・カヲルの手が尻を打つと小気味いい音が響き彩の口から悲鳴がほとばしると同時に客席からも同調する女性の声が響く。
ペニスをオシャブリしなくても、勃起したソレをアソコに挿入されなくても
身体の奥からジーンと痺れるような快感が湧き上がり、こんな恥ずかしい事をされながらどうしてと思うと混乱で何も考えられなくなる。
「股間に縄で作ったコブが当たっているのが分かるでしょう??この縄をクイクイッって引くとどんな感じ??」
「アンッ、いやっ、そんな事をされたら、アソコが変になっちゃう」
「アソコじゃ分からないでしょう。はっきり言いなさい」
「そんな事を恥ずかしい・・・オマンコ、オマンコがこすれて気持ちよくなっちゃう」
「そうなの、じゃぁ、もっと気持ちよくしてあげる」
抗ったり暴れたりする間もなく両方の足首に足枷を巻かれ、それを床の埋め込みフックに止められて両手だけではなく両足の自由も奪われてしまう。

「海やプール以外で男性を前にして下着姿になったことがある??」
「そんなこと・・・ありません」
「そうだよね、街中で下着姿になっちゃ変態だよね。ここでは平気、下着姿でこんな風にバイブで嬲られても何もおかしくないんだよ」
アウッ、ハァハァッ・・・左手に持ったローターが股間に押し付けられて右手のバイブが首を撫で、しどけなく開いて甘い吐息を漏らす唇を刷く。
彩を見つめていたカヲルの瞳が徐々に下がって乳房でくぎ付けになると、新たな刺激を予想する下半身が妖しく蠢き、昂奮で乾いた唇に滑りを与えようとして赤い舌を這わせるのさえ艶めかしい。
「どうしたの??両足をモジモジさせて・・・オシッコをしたいわけじゃないんでしょう??どうしたの、答えなさい」
「熱いの、嬲られているのに気持ちいいの・・・アソコが熱いの。私はスケベな女、こんな事をされて気持ちよくなっちゃうの」

彩―隠し事

白い肌を這う縄 

時間の経過とともに暗くて何も見えなかった客席が薄っすらと見えるようになり、今は顔の輪郭と共に男女の区別が付くほどになっている。
縄で縛られた状態で心の奥に隠れていた恥ずかしい姿を見られたいという思いがムクムク育ち、羞恥と快感がないまぜになって息を荒げる
「どうしたの、急に息が荒くなったわよ」
「恥ずかしいの、縄で縛られた身体をバイブで嬲られて善がる姿を見られるなんて・・・」
「恥ずかしくないよ。バイブで嬲られて何も感じなければ不感症って事で恥ずかしいけど、感度の良さを自慢してもいいよ。こんな事をされるとどうなの??気持ちいいでしょう??」
ウッ、アンッ、いやっ、いぃ、気持ちいぃ・・・カヲルが発する揶揄いの言葉が羞恥となって全身を覆い、操るバイブが股間と内腿を刺激すると堪えようのない快感が喘ぎ声となって口から洩れる。

客席からよく見えるようにと背後に回って左手のローターを股間に押し付け、右手が持つバイブが内腿を這い上がり鼠経部を刺激する。
ヴィ~ン、ヴィ~ン・・・ブ~ン、ブ~ン・・・ゴクッ・・・ローターとバイブの振動音が見事なハーモニーを奏で、見つめる客席の静寂を破るように唾を飲む音が聞こえる。
「ウッ、ウゥッ~・・・恥ずかしい」
「そうなの、恥ずかしいの・・・股間を苛めるのはローターだけにしてあげる。バイブはオッパイで遊ぼうね」
鼠経部から撫で上がるバイブは恥丘で円を描いて別れを惜しみ、下腹部から臍や鳩尾を経て乳房の上下を縛る縄に沿って愛撫する。
膨らみの麓から頂上までクルクルと円を描くようにゆっくりと這いまわり、先端に行きつくと乳輪の周囲をなぞる。
カヲルの悪戯はそれで終わるはずもなく、唇と舌が温かい息を吹きかけながら首筋や耳を愛撫する。
「アウッ、いやんっ、いぃの、気持ちいぃ・・・縄で縛られたオッパイが痛痒くていいの」
「ウフフッ、変態女が悦ぶことをしてあげる。両足を広げただけじゃ満足できないでしょう」

新たな縄を手にしたカヲルは両足の拘束を解いて左膝の下を縛って吊り上げる。
後ろ手に縛って手の自由を奪う縄が乳房の上下を引き絞って膨らみを強調し、膝下に食い込んで吊り上げる縄で片足立ちにされる不安定さが被虐感を募る。
不安と期待でゾクゾクするような戦慄が快感に火を点け、一度点いた火は心が拒否しようとしても身体は嬉々として受け入れる。
両手の自由を奪われてカヲルの意のままに操られるのは育ち始めた被虐心を刺激されて嫌な事ではなく、片足立ちの不安定さと自分の体重が与えてくれる鈍痛がめくるめく快感に変身する。

仕事の場では人見知りする元来の性格を隠して同僚だけではなく上司も認めてくれるほど結果を残している自信がある。
そんな優子が彩と名乗ってアイマスクで顔を隠し、縄にすべてを委ねて被虐の陶酔に溺れていく。
宙に浮くような快感はフワフワして捉えようがなく、深い谷に転がり落ちるような快感は理性が崩壊して妖しい期待に子宮が疼く。

カヲルは乳首を摘まんで引っ張り、根元を糸で縛ってしまう。
「ウッ、痛いっ・・・ウググッ、引っ張らないで」
「引っ張るのは止めて二つを繋ごうか」
残る乳首を摘まんで引っ張り、同じ糸で縛って二つの先端を繋ぎ、ローター本体とコントローラーを繋ぐコードを引っ掛けてつりさげてしまう。
「ウググッ、グゥッ~、もげちゃう・・・痛いっ、クゥッ~・・・」
膝下で吊り上げられた左足は白くてムチムチした内腿を晒し、真っ赤なTバックショーツが乳白色に輝く太腿の魅力を際立たたせる。
「Tバックでも陰毛は見えないけど、どうしたの??どんな処理をしてるの??・・・答えなさい」、ピシッ・・・ヒィッ~
「ヒィッ~、痛い・・・答えます、もう打たないで。剃ってます、一本残らず剃ってツルツルにしてます」
「そうなの、ツルマンなんだ・・・お客様に見せてあげられないのが残念・・・ツルマンはお見せできないけど、縄化粧の似合うこの身体を見るだけで満足できるはず」

縄で絞られた乳房ははち切れそうなほど膨らんで白い膨らみに青い血管が浮きあがり、先端を糸で縛られて苛められている乳首はローターの錘のせいでもげそうなほど尖りきる。
乳房と両手首や足に食い込む縄に与えられる苦痛に目を閉じると悲劇のヒロインになった可哀そうな彩が、獣欲の化身のような男たちに囲まれて慰み者になる寸前の景色が浮かんで驚きのあまり目を開ける。

ようやく顔の輪郭が分かるようになった客席に目を向けると、正面の席に座る男の表情がはっきり見える。
整ったつくりの顔を持ち、ホステスを横に侍らした一人客で彩の身体だけではなく心の内まで射るような視線で見つめられると狂おしいほどの官能の昂ぶりを覚える。
テーブルのグラスを掴もうとする手の動きさえ、彩の身体を這う縄を操ろうとしているように思えて心が騒ぐ。

男の操る縄が全身にまとわりついて身体だけではなく心まで縛り、彩のすべてを支配される妄想に酔いしれる。
乳房に絡みつく縄が肌に食い込む気持ち良さで乳首は零れ落ちるほど尖りきり
ゾクゾクする快感が湧き出てくる。
男に操られて縄に支配されるのは嫌な事じゃない。
「アウッ、アァ~ン・・・オッパイをギュッと縛られて気持ちいいの。乳首を苛められるのもいぃ・・・ハァハァッ」
「クククッ、変な声を出してどうしたの??オマタを濡らしちゃって気持ちいいんだ・・・こんな風にするとどうなるの??」
股間に縄を食い込ませようとクイクイと絞る。
ウッウッ、いやぁ~ン・・・縄が偶然にもクリトリスを挟み、子宮から脳天めがけて電気が走る。
元々、人見知りする質で自分では引っ込み思案だと思っていた優子は、彩と名前を変えて性的好奇心を露わにし、清楚な上品さをかなぐり捨てて奔放で淫らな女に変化する
「ここはどうしたの、濡れてるよ」
カヲルが示す股間は滴る淫汁をTバックが吸いこんで変色している。
縄に抱かれているような心地良さに包まれる彩が客席に目を向けると、先ほどの男だけがはっきり見えて、思わず叫びそうになる。
「私は彩。奔放で淫らな女。あなたが男の中の男なら彩を満足させて・・・あなたを待っていたの」